車窓の眺め良くするための遮音技術

先日の日経新聞に東工大の建築の先生が「車窓の眺め良くしよう」と書いておられました。

 

訪日外国人4000万人時代になり、海外の人が自動車や電車の窓から、日本の美しい風景や機能的な都市景観を眺める機会を増やしたい。鉄道のプラットホームに透明なホームドアをつけるとか、画一的な国道の景観を地域ごとに個性的な並木に変えるなど、車や鉄道と景観との間に良好な関係を築く必要がある。というような内容です。

 

北陸新幹線
北陸新幹線

この記事では取り上げられていないのですが、車窓からの眺めで最も残念なのは新幹線でしょう。海外からのお客さんを含めて最も利用頻度の高い陸上交通機関です。

 

山陽新幹線はもぐら新幹線と言われるように、50.6%がトンネルで車窓の眺めは真っ暗です。そんなトンネルを抜けても山の中では両側が法面コンクリートとかになります。都市部に入ると無粋な防音壁で取り囲まれてしまいます。

 

山陽新幹線以外の路線でも防音壁の存在は不評です。北陸新幹線は2023年に敦賀まで延伸されるのですが、その一部に透明の防音壁を使うそうです。コンクリート製ではなく、透明アクリル板を使って車窓から白山連峰や田園風景を眺められるようにします。既に、このあたりでは新幹線の眺めを邪魔する屋外広告物に規制も掛けています。

 

こういう取り組みは素晴らしいです。そこで一歩進めて、新幹線で日本の遮音・防音・吸音技術を高められないでしょうか。究極の目標は、音はほとんど漏らさないが、視界は全く遮らないということです。

透明アクリル板も一つの解決策ですが、水槽の中にいるようで今一歩です。もっと進んで、そこには何もないけれど音が漏れないという技術も開発できるように思います。

 

日本の美しい風景を眺めると同時に、技術大国としての日本の力を見せつけるには、こうして欲しいと思います。詳しいことはわかりませんが、基礎的な技術は既にあるように思います。

高速鉄道など交通分野の遮音・防音・吸音技術は、未来投資としてはリターンが大きい分野のような気がします。もちろん、どんなに高速で走っても騒音を発生しない新幹線車両技術というほうが、もっと未来的なのは確かなんですが・・。