省エネの原単位管理で固定部分と比例部分を知る

省エネ目標と言われても、忙しくて稼働が上がっていて仕方ないという場合のことです。

 

こういう場合に指導するのは、エネルギーの消費量ではなく「エネルギー消費原単位」で管理するということです。原単位というのは、「エネルギー使用量÷エネルギー使用量と関係の深い値」で計算されます。工場であれば製品の生産数や生産量、ホテルや旅館であれば客室の稼働数、などがエネルギー使用量と関係の深い値です。

 

CVP分析(損益分岐点分析)
CVP分析(損益分岐点分析)

エネルギー消費原単位で評価すれば、増えたエネルギー消費が生産が増えたためなのか、消費効率が悪化したためなのかがわかって適切な管理ができます。

 

しかし、原単位管理には難しいところもあります。その第一は分母になる”エネルギー使用量と関係の深い値”をどう決めるかです。

中小の工場でも同じ製品だけをつくっているわけではありません。同じ生産量(例えば個数)でも、エネルギー消費の大きなものも小さなものもあります。それではと、生産高(金額)を分母にしても、エネルギー消費と製品単価にはあまり関係がありません。

 

こういう場合は、製品を大括りにカテゴリー分けして計算することになります。

例えば、製品A群とB群のエネルギー原単位をおよそで見積もると2:1、同様に製品A群とC群を比較すると3:2だったとします。A群の生産量をa、B群をb、C群をcとすると、その場合の合計生産量を「a+1/2×b+2/3×c」とするような方法です。

もちろん、厳密に製品毎のエネルギー原単位を計測すれば尚いいのですが、手間ばかりかかります。工場・生産は生きもので、頻繁に変わるのでいい加減(好い加減)で構いません。

 

エネルギーの原単位管理をすると、経営分析で登場するCVP分析ができるようになります。エネルギーにも固定部分と比例部分があるのです。固定部分とは、例えば生産量に関係なく消費されるエネルギーで照明や空調、換気や給水などが考えられます。比例部分は生産機械や補機類の稼働によって消費されるエネルギーです。

 

エネルギー原単位で評価する際には、このCVP分析のグラフを描いてみてください。省エネをするには固定部分のエネルギー使用量を下げる、比例部分のエネルギー使用効率を上げるの両方に取り組まないとならないことがわかります。

このグラフを描かないと、生産量が増えている段階で固定部分に気づかずエネルギー効率が悪化してたりムダなエネルギー消費がされているかも知れません。ご用心。