IT投資の投資効率をどうやってはかるか?

日本企業のIT投資の総額は年間7.5兆円規模にまで膨らんできました。

 

IT投資の目的で最も多いのが、業務効率化・コスト削減です。2番目が製品やサービスの開発に関する投資です。これだけの金額を投入するわけですから、それに見合った成果をあげなければなりません。しかし、機械装置などの設備投資と比べて、IT投資は投資効率が判然としないという課題があります。

 

業務効率化
業務効率化

ITを導入して業務効率化が進み、コストダウンにつながったということを、どうやって評価するかは難しい問題です。

 

○○課では、これまで3人で仕事をしていたが、ITの導入で2人でできるようになった。1人減員したので、その人件費分のコスト削減になった。

・・こういう分かりやすい例はとても少ないです。

 

仮にITツールをうまく使って時間短縮になっても、空いた時間には他の仕事が入ってくるものです。人ひとりが減るようなことは、あまりなさそうです。逆に、ITツールを使いこなすまでに、大きな手間がかかることもあります。あれやこれやで、評価はスッキリしません。

 

また、一般の機械設備への投資判断は、事業所や工場、開発部など現場に近いところでおこなわれます。しかし、IT投資の場合は投資金額がかなりの高額になることもあって、現場から提案をしにくいものです。むしろ、経営企画部とか情報システム部などの本社機能から発議されて実施に至ることが多いと思います。これも、IT投資のPDCAサイクルが回りにくい要因です。仮にIT投資効率が低くなったら、本社側は優れたシステムを使いこなせない現場と考え、現場側は役にも立たないシステムを選択した本社と考えがちです。

 

いずれにしても、経営者としてはIT投資の効率をきちんと把握する必要があります。

効率は、「実際の効果金額」÷「投資金額」で表されます。この効果というのは、投資をしたから、データの保管容量が100倍になった、通信速度が100倍になったというのではダメです。性能の向上ではなく、会社収益(金額)の増加分として算出しなければなりません。

 

計画段階でIT投資のKPI(重要業績評価指標)を、頭を絞って決めておく必要があります。例えば、営業部門であればアポイント件数・訪問件数・成約率・再注文率など、事務部門であればエラー発生率、納期遵守率、取引先評価数などです。

それぞれの会社、それぞれの部門によって、重要と考えられる指標は異なります。事前によく考えておかないといけません。