在日アメリカ軍はメートル法を使う

自衛隊と在日米軍は連携して活動しますし、兵器や装備も共通しています。日本のメートル法とアメリカのヤード・ポンド法の齟齬を心配しましたが、そんなことないそうです。

 

山口県計量協会で講演会がありました。講師は、防府市にある陸上自衛隊防府分屯地司令の中村健太二佐(昔風だと中佐)です。演題は、「災害等における陸上自衛隊の活動-日常生活に役立つサバイバルの知識と実践-」というものでした。とても面白いお話でした。

 

自衛隊の災害派遣
自衛隊の災害派遣

防府市の航空自衛隊防府基地のなかに陸上自衛隊の防府分屯地というのがあります。

 

中国5県は自衛隊第13旅団(司令本部は広島県の海田市)の管轄になります。各県に駐屯地があります。

旅団のなかには、普通科連隊、特科隊、高射特科隊、戦車隊、偵察隊、施設隊、通信隊、後方支援隊、化学防護隊、音楽隊などがあります。

そして、陸上自衛隊は陸上で活動をするのですが、この活動をヘリで上空から支援するために飛行隊も編成されています。第13飛行隊が防府にあるというわけで、防府分屯地司令(一番偉い人)は第13飛行隊長が兼務するそうです。

 

中村司令のお話は、とても分かりやすくて爆笑の連続でした。飛行隊のヘリは災害救助の最前線ですから、中村司令は多くの現場に立ち会っておられるので、苦労が感じられるのですが、ちょっと噛み砕いて話してくださいました。(東日本震災の津波災害救助の話などは、どうしても涙を誘いますが、そこは割愛します。)

自衛隊では、地域とのコミュニケーションにも力を入れているようです。特に大規模災害への対応では、予め地域との良好な関係がつくられていることは、特に円滑な初動には大事に要素です。

 

<以下は、講演会での話以外のことも含めています。>

東日本大震災では発災から数分で救助派遣がはじまり数時間で2万人体制がつくられ、1日最大10万7千人の隊員が救援に当たりました。

しかし、阪神淡路のときは自衛隊へネガティブな感情を持つ地域であったこともあって、派遣要請があったのも発災から4時間後、初日の救援には2300人の隊員しか入れませんでした。生死を分けると言われる72時間後でも9500人です。その後、新潟中越地震などもあり自衛隊の活躍は広く知られるようになり、近年ではスムーズな救助派遣ができるようになりました。

 

現在、陸上自衛隊では緊急災害に24時間体制で備えています。常時待機は人員が3810人、車両1030台、ヘリ36機。防府分屯地でもヘリ1機は常に飛べるようになっているそうです。

 

計量士として気になるのは、日米の間の計量単位の違いがないのかという心配です。単位の不整合は、コンコルドの事故(仏国のメートルと英国のヤード表示のズレが原因)にあるように、重大事故につながりかねません。

 

結論として、アメリカ軍はメートル法を使っているので、心配はありません。

アメリカ軍もアメリカ国内の一部では伝統的な表示が残っているようですが、自衛隊との連携でもNATOとの連携でもメートル法に統一しています。まぁ、そうですよね。単位違いが原因になる事故なんか気にしていたら共同作戦なんか取れません。

 

また、これは知らなかったのですが、軍備には専用の規格があって、NATOではSTANAGという規格です。これに対応する形で、アメリカ軍にはMIL規格があります。自衛隊が使う装備も、この規格に対応しています。日本国内の企業がつくる装備品も、同様にこの規格に適応しているというわけです。

 

いろいろ知ると安心します。