2019年版の白書が出ていますので、要点を書いておきます。
以前は中小企業白書だけだったのですが、2015年から小規模企業白書も発行されるようになって、二分冊になりました。中小企業の動向と、それに対する国の施策の方向性を示しています。国の白書(青書)にはいろいろありますが、当然ながら利用度の最も高い白書です。
2019年版の要点を転記します。
【経営者の世代交代】
1.親族内承継の支援。親族外承継により新事業展開を期待。
2.廃業時に経営資源を引き継ぐ起業。
3.フリーランス・副業による創業を促進。
【構造変化への対応】
4.IoT・AIを活用した、生産性向上の取組。
5.中小企業と大企業の連携。研究開発の促進。
6.地方の中小企業が、域外・海外の需要を取り込む。
【防災・減災の取組】
7.防災・減災対策を進めるため普及啓発を推進。
8.リスクに見合った災害保険への加入。
昨年は、「人手不足」と「生産性向上」に重点を置いていました。今回は、経済環境の底堅い成長も背景にして、新時代への変革をポイントにしています。
経営者の世代交代では、事業承継・引継ぎだけでなく、経営資源の一部承継や多様な創業を推進しています。起業する段階で、既存事業所の経営資源の一部を活用することはメリットが大きいのですが、これまでの家族経営の中小企業ではあまり広まっていません。
構造変化への対応では、データの活用による生産性向上をアピールしています。大企業との連携とともに、域外需要の取り込みを訴えています。過疎が進む地方では需要が乏しいので、大都市圏や海外へと販路を求めること自体は合理性があります。しかし、経営の安全性に課題があってリスクの取りにくい中小企業が、域外(海外)に進出するハードルは高いことも事実です。
防災・減災への取り組みは、今年度の大きなテーマです。BCP(事業継続計画)の普及や損害保険への加入促進など、できることから進めるということです。