工事の火災は仕事が終わってから起こる

パリのノートルダム大聖堂の火災は4月15日18時半頃に出火したという報道です。

 

出火の原因は現時点では不明ですが、数年前から継続しておこなっていた修復工事が関係している可能性があるようです。工事での火災は、その多くがその日の仕事が終わってから起こります。その日の仕事の始末、仕舞いが大事です。

 

ノートルダム大聖堂
ノートルダム大聖堂(火災以前)

私にも工事火災の経験があります。

 

その工場建物では、パイロットとして1ラインを設置して1年余り稼働させて、品質や生産性の確認をおこないました。顧客の認証も取れました。

そこで、追加で2ラインを設置して、合計3ラインで本格的な営業運転をするGOサインが出ました。

 

追加2ラインを設置する工事は、12月初めから始めて1月中頃までの1か月半の予定です。年末年始のお休み期間にユーティリティーのつなぎ込み工事をおこなうために、こんな時期の工事です。

工事も先が見えてきた、1月12日は休日でしたが朝から工事は行われていました。機械装置の搬入は終わっていて、建物内の天井や壁の設置や修復工事です。およその目途がついたので、午後3時前にその日の工事を終えて、作業の方は引き上げました。

出火したのは、残火確認(工事後の火の始末を確認する)を終えた現場代理人が帰ってから30分くらい経ってからです。出火の原因は警察や消防が調べましたが、結局のところは、はっきりはしませんでした。

 

私はその後の「全体消防計画」と「工事中の消防計画」の作成(改訂)を担当しました。

工事中の消防計画(工場敷地内)では、一般に①出火防止(溶接や溶断が原因になることが多いので、その対策など)、②危険物・可燃物の管理、③延焼拡大防止、④消防設備・避難設備、⑤防火教育・消防訓練(避難訓練)、⑥消防計画と全体管理 といった内容を整理します。

 

従来の工事中の消防計画では、当日の作業終了後の出火に関する注意喚起や、残火確認に関する指示が薄いことに気付かされました。改訂した消防計画では、多くの意見を聞いて必要と思われる事項を追加したり、無用な作業をさせないことを徹底しました。

「工事の火災は仕事が終わってから起こる!」

 

ノートルダム大聖堂の火災原因は不明ですが、修復が完成されるのを待ちましょう。

 

※ ちなみに、工場敷地内の工事ではなく、一般の建設工事の場合は火災の原因に作業者の喫煙とか、外部からの放火とかが占める割合が高いので、消防計画も少し変わってきます。