地球規模の環境も修復できる~オゾン層の復活

地球温暖化の問題を語ると、今となっては遅すぎるのではないかと言われる人がいます。

 

地球規模の環境であっても、人が引き起こしたことですから、人の力で解決することができるはずです。また、解決しなければなりません。地球は現在を生きる私たちの所有物ではなく、未来に生きる子供たちからの預り物なのだという意識が大切です。

 

オゾンホールの面積経年変化
オゾンホールの面積経年変化(気象庁のWebサイト)

1930年に米国のGMとデュポン社は共同でフロン(CFC:クロロフルオロカーボン)の製造を開始しました。非常に安定な化合物であるフロンは「夢の化学物質」として、溶剤や冷媒として大量に消費されました。

 

地球を取り巻いているオゾン層は、宇宙からの強烈な紫外線を遮断して生物の生存を守る大事な役割を果たしています。

そのオゾン層が破壊されているという観測がされはじめたのが1970年頃です。

 

オゾン層破壊の原因が安定な化学物質であるフロンだと予測されました。通常の塩素化合物はオゾン層に届くまでに、塩酸や硝酸塩素などオゾン層を破壊しない物質に変化します。しかし、フロンはあまりにも安定なのでそのままオゾン層に達して、塩素を放出してオゾン層を破壊します。

 

 

そこで、1985年のウィーン条約・88年のモントリオール議定書によってフロン(CFC)の製造と使用が国際的に規制されました。

それまで非常な勢いで増えていた大気中のフロン濃度は1990年代初頭をピークに下がり始めました。この結果、南極上空のオゾン層に開いた穴・オゾンホールの拡大も収まってきて、修復に向かっています。(南極は低温で大気循環が小さいので地球上で最もオゾンを破壊する化学反応が起きやすいことから、オゾンホールができやすい。)

 

CFCとHCFCの大気中濃度の経年変化
     フロン(CFC)の大気中濃度の経年変化  と  代替フロン(HCFC)の大気濃度の経年変化

CFCが規制されたことで、これに変わる溶剤や冷媒が必要になりました。そこで、登場するのがHCFC(ハイドロフルオロカーボン)です。HCFCはオゾン層へのダメージがCFCに比較して数十分の1であることから、CFCに替わって大量に使用されるようになりました。

 

しかし、長期的にみればオゾン層を破壊する原因になります。

日本では、2015年からHCFCの生産を縮小しており、本年末で全てのHCFCの生産が終了します。現在使用されているエアコンの表示に「R22」とあれば、HCFCを使用しています。

 

今後、HCFCの新たな生産がなくなりますので、R22エアコンは故障して修理をしても充填する冷媒が無い(あるいはあっても高価)となります。省エネ性能の観点からも、R22エアコンは更新が推奨されます。省エネ補助金なども活用して、更新を検討ください。

 

HCFCの後継はHFC(ハイドロフルオロカーボン)で、代替フロンと呼ばれるものです。

エアコンの表示には「R32」(あるいは「R410A」)とあります。確認してみてください。