経営者のなかには、経営はスピードが命!と即断即決を尊ぶ人がいます。
意思決定に至るまでのプロセスの長さは、決定するべきことのリスクの大きさに合っていなければなりません。ランチのメニューをあれこれ悩まずに即断即決するのは、同席する者(相手次第ですが)には好ましい。しかし、年商に匹敵するような大きな額の取引を決めるのは慎重でなければなりません。
リスクの重要性は、発生する確率(可能性)×発生したときの影響の大きさで測ります。
このうち、発生したときの影響の大きさは、可能性のある最悪の結果とは何か?と考えます。また、その結果が及ぶ範囲も考えないといけません。
会社そのもの(例えば経営者や従業員)としてのリスクは容認できるとしても、最悪のケースでは取引先などの関係者や周辺住民などが安全ではないかも知れません。
また、リスクの種類についての検討も必要です。
BCPを策定するときに、地震や台風など大型自然災害のリスクにばかりに注目することがあります。しかし、感染症、商品クレーム、知財、労働問題、金融恐慌などいろいろな種類のリスクもあります。
経営者が決断するときは、収益(経済)上のリスクだけでなく、関係者の人的(身体や健康)リスクや感情面、他の事業面など影響が及ぶ範囲を見ておかなければなりません。
また、リスクがある場合はそれを減らすための手立てがあるかどうか、あるならば講じるかどうか、を考えることも必要です。
一方、リスクの小さい決断を長い時間かけるのはムダです。間違った決断をしたとしても、後になって思い悩むこともないわけです。