酔っ払いが起こした最悪の環境破壊事件

旧聞ですが、衝突したクルーズ船の船長からアルコールが検出されたというニュース。

 

環境破壊という観点では、アルコールが原因で起こった最悪の船舶事故は「エクソン・バルディーズ号」による原油流出事故です。座礁した大型タンカーは、アラスカ州沖で4,200万リットルの原油を海に流出させました。50万羽を超える海鳥(ウミガラスなど)、5千頭を超える海獣(ラッコやアザラシなど)、数知れない魚(サケなど)が死にました。

 

エクソン・バルディーズ号事故
エクソン・バルディーズ号事故(Wikipediaより)

1989年3月23日夜9時過ぎに、エクソン社のタンカー・バルディーズ号は、アラスカ州バルディーズの石油ターミナルを出港した。

 

操舵はジョセフ・ヘーゼルウッド船長がおこなっていたが、乗船する直前まで2軒のバーをはしごして飲んでいたので眠くてしかたかない。

11時過ぎに、船長は操縦資格を持っていない三等航海士のグレゴリー・カズンズに操舵を任せて、船室に戻って横になった。カズンズには海に浮かぶ氷山を避けながら船を操る技術はなかった。

 

タンカーはそれから1時間後、24日0時過ぎに浅瀬に座礁した。慌ててブリッジに戻ったヘーゼルウッド船長は、座礁した船を船体が壊れるという警告を無視して、暗礁からタンカーを引き離した。この時、すぐには非常警報を出すこともしなかった。この結果が、大量の原油流出事故を引き起こした。

 

事故を知った沿岸警備隊がタンカーに乗り込んだとき、ヘーゼルウッドは明らかに酔っていて、ひっきりなしにタバコを吸っていた。原油に引火すると大火災になると、警備隊にタバコを取り上げられるまでずっと。ヘーゼルウッドは事故後9時間(飲酒が終えて、少なくとも12時間後)を経て、アルコール検査を受けたが、その時点でも血中アルコール濃度は、操舵できる基準値を超えていた。