ベトナムが緑豊かな国になったわけ

ハノイでの米朝首脳会談は終わりましたが、ベトナムの復興発展の勢いは素晴らしいです。

 

私は過去にベトナムを6回訪問しました。ハノイとホーチミンの市街と、外資系企業が集まる工業団地にしか行ったことはないのですが、その範囲で言えばベトナムはとても心地よい国です。街はまぁまぁ綺麗ですし、人々も概ね親切(但し、道路を横断するのは怖いし、偽物売りつける商人もいます)です。何といっても、ベトナム料理が日本人の口に合います。

 

GoogleEarth ベトナム中心に 
GoogleEarth ベトナム中心に

さて、ベトナムには環境面で注目される数字があります。それが「森林率」です。

 

日本は国土の7割(2016年に68.5%)が森林に覆われている世界でも有数の森林国です。日本より森林率の高い国は、OECD加盟国ではフィンランドとスウェーデン、北欧の2か国だけです。

 

ベトナムの森林率は、20016年に48.1%でした。世界の平均が30%強ですから、比較すると結構高い数字です。

 

ベトナムはベトナム戦争での森林火災や景気変動の影響のため、経済成長の裏返しである過剰伐採や焼畑農業の活況によって、1990年の森林率は28%まで減少していました。これに対して、ベトナム政府が森林保護法を1991年に成立させます。木材輸出を禁止し、商業伐採を割当制にするなど、森林再生に国を挙げて取り組むようになりました。

 

この結果、30年足らずで森林率は28%から48%へと、20%も改善されました。20%の改善ということは、ベトナムの国土は33万㎢ですから7万㎢という広大な面積になります。ちょうど、北海道分に相当する面積の森林化を果たしたというわけです。

 

ベトナムの強みは、決めたらその通りにグイグイ進めるという国民性にあるように思います。この政策的な取り組みは世界の模範になるものです。また、これらの植林事業では、日本も多くの技術的・経済的な支援をおこなっています。

 

ちょっと世界に目を転じますと、地球上の陸地面積は約15,000万㎢で森林面積は約4,000万㎢です。毎年、13万㎢分の森林が減少しており、逆に植林することで8万㎢の森林が増加します。差引、毎年5万㎢の森林が失われています。ベトナムのような取り組みが世界に拡がっていくことを期待したいところです。