中小事業者がキャッシュレス決済を導入するべきか

10月からの消費税増税がはっきり決まったのかどうか、未だに少しモヤモヤしています。

 

建設工事など契約から引き渡しまでの時間がかかる商品・サービスの消費税の適用については4月1日が指定日になっています。3月31日までに契約すると、工事の完成が10月1日を過ぎていても消費税は8%のままです。住宅のように数千万円の契約ですと、2%の差が数十万円になるので、建築業界は設計・見積り・契約交渉で大忙しです。

 

現金決済のコストは1兆円
現金決済のコストは1兆円

今更では仮にリーマンショック級の世界金融恐慌があっても、消費増税見送りはできないと思います。飛行機の離陸で言えば、決心速度(V速度)を超えました。

 

消費増税と同時にキャッシュレス決済に限ってポイント還元するということが決まっています。キャッシュレス決済の導入は、中小事業者にとっては悩ましい問題ですが、どうすべきなのでしょうか?

 

ポイント還元制度の目的は、大きくわけて二つです。

1つは、増税による消費の落ち込みを無くすということです。10月1日から9カ月間は中小事業者からキャッシュレス決済で購入した商品やサービスに限り、5%の還元をするのですから、この期間のお買い物は増えると思います。但し、キャッシュレス決済に限られるので、還元を受けない消費者も出ることに注意です。

 

2つは、キャッシュレス決済の導入促進です。日本の現金決済の直接コストは約1兆円です。社会コストを含めると、5兆円を超えるという試算もあります。

キャッシュレス決済によって、このコストが削減できるのが大きな利点です。更に、海外からの観光客の消費を喚起するという意味もありそうです。

 

そこで、中小事業者としてキャッシュレス決済を導入するかどうかです。

機器に関する費用では、キャッシュレス決済に使われる端末は国からの補助金が入るので、実質ゼロ円で導入することができます。但し、これは端末だけですから、もし通信設備などが無ければ別の費用が必要です。まぁ、この機会に導入するメリットはあります。

 

一方の経費は、9か月間はキャッシュレス決済事業者への手数料の1/3が補助され、さらに手数料が上限3.25%に抑えられます。9か月間だけのメリットですから、その後の手数料支出を考慮しないといけません。さらに、キャッシュレスの場合は、モノを売ってもすぐに現金になりません。決済事業者からの入金まで数週間かかれば、その間の資金繰りを考えないといけません。

 

他にも、情報セキュリティー(個人情報管理)の課題や、決済アプリの多様化への対応など、面倒でリスクのあるテーマもあります。

 

ポイント還元がある9カ月の間はキャシュレス決済のできる店に行きたいと思うのは人情です。まずは、この間だけ導入トライアルをして、その後に決めることができれば良いとは思いますが、お客様のあることですからそれも難しいです。

それぞれのお店で、ケースバイケースに考えていくしかありません。