江戸時代の公文書管理を真似てみたい

国会などで公文書管理の話題がよく出ますが、江戸時代のやり方が先進的です。

 

江戸時代は多くの役職を複数の人物や組織(藩)が輪番制でおこなっていました。大岡越前や遠山金四郎で有名な江戸町奉行で北町と南町が月番交替で務めました。寺社奉行の場合は譜代大名4人が、やはり月番交替で担当していました。

 

箱館奉行所文書
箱館奉行所文書

つまり、お奉行様は1ヵ月間公務についたら、次の1ヵ月とか3ヵ月は公務を離れます。その間は休養したり、自分の藩や家の仕事をしたりするという制度です。

とても合理的です。

 

江戸時代の奉行所の公文書管理は概ね次のようになっていました。

月末に、前の月の奉行からその月の奉行に、御用箱を入れた大きな箪笥が届きます。御用箱のなかには、現在進行中の案件の文書・記録が入っています。たくさんの御用箱を箪笥ごと持ち込むというわけです。

 

その月の奉行が仕事をすると、また新しい文書がつくられます。

これを全部御用箱に入れていると箱はどんどん増えます。そこで、文書はチェックされて、翌月に必要な文書と当分は使わない文書に分けられます。

必要な文書は次の月の奉行に届けられますが、当分使わない文書は別の御用箱に入れて違う箪笥に収納されます。そして、この箪笥は、その年の当番になっている奉行所に置かれます。この当分使わない文書を入れた箪笥は、1年が終わると次の年の当番になった奉行のところへ運ばれるわけです。

 

この当分使わない文書も放っておくとどんどん増えそうです。しかし、何しろ年に1度運ばないといけません。そこで、全く使わないとか滅多に見ない文書は御用箱から取り出して、別の御用箱に入れなおします。この公文書として保存はしておくが、滅多に見ることのない文書は江戸城の書庫にある箪笥に納められます。

 

実に合理的な文書管理です。江戸時代の公文書は1人の担当者が取り扱うわけではなく、月単位で責任者が変わります。わかりにくい文書やいい加減な記録では面目丸つぶれです。

しかも、現物の紙の束を箪笥に入れて運ぶわけですから、きちんと選別して量が増えないようにしなければなりません。必要なものだけを、手元に置くわけです。

文書管理の、最も合理的なやり方のような気がします。