アジアの都市でPM2.5の値が上昇している

一時期は毎日のように話題になっていたPM2.5ですが、最近はあまり聞いていませんでした。

 

最近のニュースでは、ソウル市のPM2.5の値が非常に高くて困っているということです。原因として、中国からの越境汚染物質の影響が大きいか小さいかで両国の間で少々もめています。驚いたのは、タイのバンコク市のPM2.5が深刻なレベルまで高くなっていること。暖かいバンコクでは暖房に石炭を使うということもないので、空気は綺麗という印象でした。

 

PM2.5
PM2.5

PM2.5というのは、粒子の大きさが2.5㎛以下の微粒子のことです。

PMはParticulate Matterの頭文字です。

 

日本の環境基準では微小粒子状物質として10㎛以下の粒子が対象になっています。それより小さいPM2.5という指標は、1997年にアメリカで提案されたもので、まだ20年ほどしか経っていません。

 

10㎛とか2.5㎛とかの基準は、その粒子が人体のどこで沈着するのかという研究からもたらされました。

 

例えば50㎛の大きな微粒子(変な言い方ですが)であれば、鼻の粘膜で沈着します。10~50㎛くらいの微粒子では、鼻腔を通り抜けますが喉の当たりで引っかかって排出されます。不快ではありますが、とりあえず健康には大きな被害はありません。

 

ところが、10㎛以下の微小粒子状物質ともなると、咽頭を通り抜けて気管や気管支に到達して沈着します。大気汚染によって、気管支ぜんそくなどの障害がでてきます。

これが2.5㎛以下となると、気管支を通り抜けて肺胞に達して沈着します。肺の機能低下をもたらして肺がんを引き起こしたりします。

 

PM2.5の環境基準は35㎍/㎥となっています。日本で環境基準を超えることはあまりないのですが、ソウルやバンコクでは150㎍/㎥を超える日もあるようです。

しかし、PM2.5は粒子なので目の細かいマスク(N95)をきちんとすれば身体に入ることは防ぐことができます。N95は0.1㎛までの粒子を95%カットできるというものです。

 

ここで、0.1㎛以下の粒子なら通過するじゃないか?と考える人もいますが、これ以下の粒子までカットできるマスクをつけると、そもそも呼吸ができません。また、0.1㎛以下まで小さい粒子は肺胞にも引っかからないので、危険もないというわけです。

 

まぁ、マスクに頼らないで済むようなきれいな空が続くことが望ましいですね。