計器としての曲尺(かねじゃく)は大切に!

製品検査で寸法(長さ)を測るときに、曲尺を使うことはよくあります。

 

計器のキザミは製品に要求される精度の1/4以下であることが条件です。要求精度が±2mmであれば0.5mmキザミの曲尺で測定して不具合はありません。もし。±1mmの精度が要求されるのであれば、曲尺ではなくてノギス(0.05mmキザミ)を使います。

 

曲尺(直尺)シンワ測定㈱の製品
曲尺(直尺)シンワ測定㈱の製品

曲尺には文字通りL字形の曲尺と、写真のような直尺があります。

曲尺は計器として使用される場合と、現場で工具として使用される場合があります。建設現場では、曲尺を自在定規のように、曲げてアールをつくって弧を描くのに使うことがあります。

 

計器として曲尺を使う場合、使用頻度が高いので、検査員それぞれに持たせている場合が多いと思います。曲尺は工具としても使いますし、価格も安い<JIS1級品でも、定価で380円(15cm)>のでぞんざいに扱われやすいです。

しかし、計器としての曲尺は大切に扱いましょう。曲げるなんて論外ですし、振り回したりするのもやめてください。 

 

ISOを取得しているような会社であれば、トレーサビリティーを確保するために、社内に基準となる曲尺を1つ決めて定期的に外部で校正してもらっていると思います。この校正した社内基準をもとにして、検査用の多くの曲尺の精度確認をするのが普通です。

この基準曲尺の校正費用は、15cmの曲尺でも12000円します。本体価格の32倍です。

 

ちなみに曲尺といっても、メートル法(mm表示)です。

曲尺というと、建設用の又四郎尺が思い浮かびます。これは尺貫法ですから、寸表示です。

 

なぜメートル表示が普遍的であり、計量の世界ではメートル法への統一を進めたいのか訊かれたことがあります。

少し考えると、メートルは地球の円周(極から赤道までの距離を1万kmと定義した)の基準に対して、尺貫法もインチヤード法などその他の方法は人の身体(例えば、王様の腕とか足のサイズ)を基準ににした単位だからです。

つまり、人の身体はいろいろですが、地球の大きさには普遍性があるからだと思います。