地球温暖化を最初に訴えた科学者はアレニウス

初等物理化学の教科書に出てくるアレニウスの式にあるように超有名な物理学者です。

 

アレニウスの式というのは、化学反応の速度が温度にどう依存するかを示す式です。とても基本的な計算で、よく使われます。例えば、ある製品の性能と温度の関係が予想できます。

 

アレニウス(wikkpediaより)
アレニウス(wikkpediaより)

アレニウスは1859年生れのスウェーデン出身の科学者です。

1903年に電解質の解離の理論によって、ノーベル化学賞を受賞している偉い先生です。

化学者としては、イオンや酸と塩基などの基礎的な理論を確立しました。また、アレニウスの式でおなじみの反応速度論の基礎をつくり、活性化エネルギーという概念を創造しました。

 

そんなアレニウス先生ですが、20代の頃(1890年代の後半)から気候変動を研究対象としていました。実際に、大気中の二酸化炭素濃度と気温上昇の関係を地球上のあらゆる地点を対象にして計算しています。

 

現在では、アレニウスの地球温暖化計算モデルは十分に正しいとは言えないそうです。それでも100年以上も前に地球温暖化を予想する計算をおこなっていた先見性は驚きです。

当時は、欧州であっても、まだ工業化は進んでおらず、実際に気温の上昇に人々は気付いていません。のどかな生活をしていたはずですが、アレニウスは温暖化の危機に気づいたのです。

 

アレニウスの計算モデルでは、当初には、二酸化炭素濃度が現在(1890年)の2倍になったならば、地球の年平均気温は5~6℃高くなると計算されていました。その後、計算モデルは修正されて、1906年には二酸化炭素2倍で年平均気温は1.6℃の上昇とされました。

 

もっとも、アレニウスは二酸化炭素濃度が2倍になる時期を3000年後と予言していました。

しかし、実際にはアレニウスの計算から140年くらい経っただけの現時点で、既に二酸化炭素濃度は1.4倍になっています。とても3000年も待たなくてもよさそうです。

 

アレニウスが予言した19世紀末と現在では地球の年平均気温は既に1.1℃高くなっています。二酸化炭素濃度が2倍になれば、地球平均気温は2℃以上は上がりそうです。2倍になるまでにあと何年でしょうか?その時になって、計算が正しかったとか間違っていたとか言っても、もう後戻りはできません。