経営者の高額報酬。その意味とは?

プロフェッショナルな経営者が高額な報酬を得ることの意味は何でしょうか?

 

ゴーンさん(家族とか諸々合わせて)に日産が使っていたお金は、ルノーを介したものを含めると20年弱の期間でどうやら500億円を超え1000億円に近づきそうです。もちろん、税金を正規に納めていたならゴーンさんの手元に残っているのはもっと少額ですが・・。

 

欧米の経営者は高額の報酬を得るが、日本の経営者は従業員の延長くらいの報酬に過ぎないというのは概ね事実です。

 

日本人経営者の高額報酬は、昨年度ではソニーの平井さんが27億円、リクシルの瀬戸さんが11億円、扶桑化学の赤澤さんの10億円がトップ3です。日産の西川さんは日本人20位の5億円です。

平井さんは前年の9億円から3倍増、瀬戸さんは5億から2倍増、いずれも業績に連動しているようです。3位の赤澤さんの場合は、報酬は7千万円弱で9億円強が退職金です。

 

日本では1億円を超える報酬は開示されますが、トップ企業の経営者でも1億円未満の報酬の人が多くて実態がよくわかりません。経済産業省の記事では東証1部上場企業の社長報酬の中位値で5000万円程度のようです。

これに対して、アメリカのトップ60社のCEO報酬の中位値は約18億円、英独仏のトップ100社では中位値は約6億円だそうです。一桁違いそうです。

 

何故、経営者に高額な報酬を支払うのか?というのは素朴な疑問です。簡単に考えれば、経営者の報酬と会社の業績が比例するのならば支払うことは正義でしょう。つまり、高額報酬を得ている経営者のもとで、会社の収益が増えて株主も従業員を含む利害関係者も利益を得るのであれば文句はありません。経営者は、自らがとるリスクに応じた報酬を得るわけです。

 

問題は、経営者の報酬と会社の収益=利害関係者が得る利益=の関係が壊れているときです。日産の場合は、直近期の業績では、トヨタとホンダのライバル2社が増収増益であるのに対して減収減益となっています。ルノーの業績は、そんな日産に頼っているのが実態で、更に悪化しているようです。

もう一つの問題は、利益を与えられる利害関係者のなかに会社への貢献がない経営者の個人的な関係者がいる場合です。会社のお金=株主・利害関係者のお金=を使うことになります。

こうなると、我慢できないってことになるのは仕方ありません。1000億円を技術開発に使っていれば・・という気持ちにもなります。

 

但し、企業が自社の経営トップを犯罪者にするというのはよほどのこと(特に日本では)です。前代未聞と言ってもいいのではないでしょうか?

日産以外の大企業であっても、問題のある経営トップはたくさんいます。しかし、何らかの方法で因果を含めて納得させるか、内部機関の決定で退かせるのが普通です。

そういう点で、もともと日産では企業統治が適切に行われない事情があったということです。

これからが大変です。