ドラッグストアはこのまま増えていくか?

宇部市は人口17万人弱の地方都市です。また新しいドラッグストアが建っています。

 

コスモス薬品が6店舗、岩崎チェーンとWonts(ウォンツ)がそれぞれ4店舗、ドラッグストアモリが3店舗です。次が18店舗目です。ドラッグストアは、人口1万人の小商圏で1店舗の経営が成り立つビジネスモデルだそうですから、ほぼ飽和状況かも知れません。

 

ドラッグストア
ドラッグストア

平成30年上半期の小売業販売統計が公開されています。小売業全体の販売高は約71兆円で前年比1.3%の伸びでした。販売数量が増えたというわけでなく、主には価格上昇が要因のようです。

※半年(6か月)の販売高です。念のため。

 

ドラッグストアは、前年比6.6%の大幅な伸びをみせて販売高が3兆1266億円となりました。

前年比-0.5%減となった百貨店の販売高が3兆1349億円でしたので、次の半年ではドラッグストアがデパートを抜き去ることは確実です。

 

ドラッグストアという業態は1970年代半ばに誕生して以来、成長を続けています。販売高が2兆円を超えたのが2003年、4兆円超えが2012年、そして昨年2017年には6兆円を超えてきました。

 

高齢化社会というか健康長寿社会の実現には、ヘルスケアの重要性が高まっています。

ドラッグストア業界も、健康相談や介護サービスの提供、調剤併設店舗の増加などを進めているようです。健康食品やサプリメントの需要も増大していきますし、化粧品や美容用品も専門店で購入するよりドラッグストアを利用するケースが増えています。美容相談に応じてくれる店舗もあるようです。ドラッグストアの専門性は大きな武器です。

 

一方で、食品や雑貨などドラッグストアの業態と関連が薄い商品の売上比率が高まっています。ドラッグストアの食品販売は、元々はお客さんの来店頻度を上げるという補助的な目的で置かれていたと思います。しかし、上半期では、ドラッグストア全販売高の30%にあたる9300億円が食品その他が占めています。

逆に、ディスカウントスーパーのインストアで薬局を置いている店舗が増えていることもあって、今後は差別化を考える必要がありそうです。

 

また、医薬品・サプリメント・健康食品はネットで購入する層がどんどん厚くなっていきそうです。対面販売できるというディスカウントストアの強みが、規制緩和やIT技術の進化で奪われる懸念もあります。もちろん、ドラッグストアがネット販売に参入もしているので、シナジー効果を期待するということもできます。

 

これまでのようにドラッグストアの店舗数が10年毎に2倍になるという成長スピードは少し緩やかになるかも知れませんが、次の展開がどうなるか興味津々です。