ナイチンゲールは統計学の先駆者

ナイチンゲールは近代看護教育の生みの親として知られますが、実は衛生統計の生みの親でもあります。

 

ナイチンゲールは、クリミヤ戦争でのイギリス軍の戦死者・傷病者に関する膨大なデータを分析して、野戦病院の衛生状態が治療の成否に大きな関係があることを明らかにしました。そして、この衛生環境の改善によってイギリス兵の死亡率を劇的に改善しました。

 

ナイチンゲールの円グラフ(http://www.stat.go.jp/index.html)
ナイチンゲールの円グラフ(http://www.stat.go.jp/index.html)

右のグラフがナイチンゲールが戦争での兵士の死因を分析した結果を公表した際の円グラフ(の一種)です。

時計の9時の方向から、4月・5月・6月・・と時計回りに各月の兵の死傷者数を面積グラフで示したものです。このグラフの形を考案したのもナイチンゲールです。

 

左の小さな円が1854年4月~1855年3月で、3月まで終わると右の円に移ります。☞は、1855年4月から始まります。

視覚に訴える効果が抜群ですね。大雑把なグラフの趣旨としては、真ん中のピンクや茶色の部分が戦争での負傷などが原因である死傷者数です。そして、その外側の灰色の部分が、野戦病院の衛生状態が悪いことが原因である感染症など(つまり予防が可能)の罹患者です。

ビジュアル的にも、対策を迫るものがあります。また、このグラフひとつで、どの月に死傷者数が増えたのか、これまでの経緯なども一目でわかるようになっています。

 

ナイチンゲールは、これらの功績で1859年に女性として初めて王立統計協会会員に選ばれました。イギリスではナイチンゲールが統計学の先駆者として知られているそうです。

 

統計学に近いような活動は古代の時代からも行われていました。

古代中国の魯国で人口調査が行われたのは2300年も前のことですし、日本の国勢調査をセンサスというのは、ローマの初代皇帝アウグストゥスがおこなった人口や土地を調べる調査をCensus(センサス)といった名残だそうです。

 

統計学は、ナイチンゲールの衛生統計のように社会経済的な理由から発展してきました。税金・軍事・保険・政治などがその動機です。

 

そのなかで、現在でも保険に用いられる生命表ですが、1662年にイギリスのグラントが作成した死亡表というのがあります。100人出生したら、52人が男性で48人が女性。100人のうちで6歳まで生きるのが64人、16歳まで生きるのが40人、以下10年ごとに25人・16人・10人・6人・3人・2人・1人となって86歳まで生きる人は0人です。

 

この当時では、56歳まで生きるのは100人中3人というわけですが、死因などはよくわかりません。まぁ、今と違って生きるのが大変だったわけですね。

現代に生まれたことを感謝しながら(もう少し生きておれそうですから)、統計の勉強をはじめましょうかね。