外来生物と在来生物をどう分けるのか?

佐賀県で食用鳥として飼育されていたエミューが逃げ出して田んぼで捕まったそうです。

 

テレビ番組では、池の水をぜんぶ抜いて外来生物種を駆除するという番組がたいそうな人気を集めています。しかし、外来生物と在来生物をどのように分けて、どの範囲を駆除するのかはよく考えないといけません。

 

外来生物と在来生物
外来生物と在来生物

お城のお堀や街なかの水路に、カミツキガメやワニガメが棲んでいるというのは、わかりやすい外来種の例です。そのために、元々お堀や水路にいたカメや魚が棲めなくなるので、駆除するというのは何となくわかるような気がします。ただ、カミツキガメの恐ろしそうな風貌がそう思わせているだけなのかも知れません。

 

今、北海道の全域ではカブトムシが生育しています。夏休みの子供たちに大人気で、特に駆除しようという話はなさそうです。北海道にカブトムシがやってきたのは、もちろん人間が持ち込んだわけです。どうも、カブトムシの養殖を仕事にしていた人がいるようです。

北海道に棲みついたカブトムシのために、駆逐された北海道在来のクワガタムシなんかがあったかも知れません。

 

魚類の外来種の多くは漁業のために移動させられたものです。ヒメマスは十和田湖の需要な漁業資源ですが、元々十和田湖に棲んでいたわけではありません。ブラックバスは食用ではなく、釣りの対象なので風当たりが強いですが、ヒメマスやニジマスをけしからんという人は少ないでしょう。

植物では、コスモスや向日葵やセイヨウタンポポも外来生物です。セイタカアワダチソウが一時期、花粉症の原因だと誤認されて悪者扱いされた時期もありましたが、多くの場合帰化植物には寛容です。

 

タイワンザルやアカゲザルとニホンザルの交雑という問題もありました。従来の外来生物法では交雑した生物は対象になっていなかったのですが、2013年の改正で交雑種でも特定外来生物に指定できるようになりました。ニホンザルとの交雑個体の捕獲と駆除が大々的に行われたわけですが、サルに罪は無いという気もします。

 

そもそも、在来種か外来種かの線引きは難しいですし、何でもかんでも外来種は駆除しなければならないわけでもありません。ちょっと問題発言ですが、在来種が優生というわけでもないです。犬や猫をペットとして飼っていることにも、問題が無いわけでもありません。

結局は、今生きている人間にとってどうするのが心地よいか、あるいは便益が大きいかで決められるわけです。外来生物の駆除は難しい問題です。