ガソリンスタンド跡地の土壌汚染は少ない

「ガソリンスタンド跡地の多くは土壌汚染されていない」ということを理解してください。

 

ガソリンスタンドの地下は油でベトベトに汚染されているというイメージをお持ちの人は少なくありません。確かに、土壌汚染が発見されてニュースになったり、公表されるケースはあるのですが、汚染が発見されないほうが圧倒的に多いのです。

 

ガソリンスタンドの廃墟
ガソリンスタンドの廃墟

ガソリンスタンドの運営を普通におこなっていただけで、土壌が汚染されることはありません。これは考えれば当たり前のことなんですが、ガソリンスタンド≒汚染のような印象を持たれてしまいます。

 

土壌汚染対策法でガソリンスタンドに適用される有害物質は、ベンゼンと鉛です。

ベンゼンはガソリンに1%未満ですが含まれます。ベンゼンは豊洲市場のニュースでしばしば流れたように揮発性が高い物質です。給油中のガソリン投入口からも揮発して空気中に漏出しています。仮にガソリンを少量こぼしたとしても、ベンゼンが土壌中に長く留まるわけではありません。

 

レギュラーガソリンに鉛が含まれていたのは1975年以前のことで、既に40年以上経過しています。ハイオクでも1986年には無鉛化が完了していますので、これ以降に営業開始したガソリンスタンドは鉛汚染は考えられません。古いガソリンスタンドでは、汚染の可能性はありますが、ガソリンを撒き散らかした事故があったのでなければ大丈夫のはずです。まぁ、40年以上前のことですから、事故があったかなかったかは、わからないわけです。

 

次に油汚染ですが、土壌中に油がベットリなんていうのは拙いですよね。地下水や川に油が染み出て油膜をはるだけで大問題になります。しかし、そんな話はほとんど聞いたことがありません。地下のガソリンタンクや埋設配管に亀裂が入っていて、ガソリンが漏れているなどは滅多にあることではないのです。当たり前ですよね。

尚、油汚染はガソリンそのものは有害物質ではないので土壌汚染対策法の規制範囲外です。

 

そもそもですが、国法である土壌汚染対策法ではガソリンスタンドを廃業したからといって土壌汚染調査を実施する義務はありません。東京都や埼玉県などでは条例で調査を義務付けていますが、山口県を含む多くの地域では義務がありません。(厳密には3000㎡を超える土地の改質がおこなわれるなど、調査が必要な場合もあります。)

 

ガソリンスタンドが廃業した後の土壌汚染調査の多くは自主調査です。簡単に言えば、自主調査をおこなうことで、跡地利用や売却が容易になるのです。逆に言えば、ガソリンスタンド跡地≒汚染土壌というイメージがあると、利用できない廃墟になったり、土地の価値が下がったりしてしまいます。

土壌汚染調査をおこなうことで、土地の価値を上げることできます。もちろん、調査の結果汚染が発見される可能性は否定できませんが、広範囲に酷い汚染があるというケースは考えにくいでしょう。仮に小規模な土壌汚染(ガソリンの漏れ)が発見されたとしても、その汚染土壌を適正に処置することで、土地の取り引きが有利になります。売主さんや仲介業者さんの信用も増します。

 

結論としては、万が一の汚染が見つかるのが嫌だから調査をしないという選択ではなく、自主的に調査するという選択のほうがよいと思います。