水害による逆モーダルシフトをどうする?

西日本水害の影響でJR山陽線の完全復旧は11月末まで遅れそうです。

 

長距離物流では、トラックに比べて環境に優しいことや、ドライバーさんの人手不足や安全管理、働き方改革などを背景にしてJR貨物へのモーダルシフトが進んでいました。

 

JR貨物運転状況(2018.7.26)
JR貨物運転状況(2018.7.26)

JR貨物のウェブサイトによれば、山陽本線の新南陽~広島間は9月末に再開、東福山~広島間は11月中再開予定となっています。

まだまだ長い間、九州・山口と首都圏・関西圏の物流大動脈は遮断されます。

一応、九州と関西以東であれば山陰本線が代替できないわけではないですが、単線で長距離になりますから実用上は厳しそうです。

 

このところ、トラック輸送からJR貨物へのモーダルシフトはかなりの勢いで進んでいました。今回の長期に渡る運航休止は、鉄路の脆弱性を改めて示して、トラック輸送の機動性を再認識させました。逆モーダルシフトが加速する可能性が高くなっています。

但し、足元では関西から山口県へのトラック輸送はかなり混乱しているようです。JRが担っていた物流を、トラックが全て担うのは大変です。ケースによっては、物流コストも数倍になっているようです。

 

一方で、モーダルシフトにはCO2排出量の削減、エネルギー使用量の削減という環境面での効果が大きいです。更に、定時制が高く、長距離ドライバーの労働環境改善などを考えれば、国にとって重要なインフラです。

現在は、水害復旧として壊れた路線をそのまま改修しているのでしょうが、将来的な鉄路物流インフラの検討を進めて欲しいものです。今回の場合でも、鉄道では新幹線、道路では高速道路の被害は少なく、復旧も早かったわけです。

実現可能な夢としては、リニア新線の旅客輸送量を増やしたり、第二東海道山陽新幹線を敷設して、現在の新幹線を貨物線にするくらいのことは語ってもいいような気がします。