人手不足なのに給料が上がらないワケ

若い方から、何故人手不足で忙しいのに給料が上がらないのか?と聞かれました。

 

まぁ、実際には結構上がっているように思うのですが、実感が乏しいようです。給料が簡単に上がらない理由はいくつかありますが、一番強いのは給料は下げにくい(下方硬直性が強い)からだと思います。

 

給料
給料

人手が余ったときに大きく給料を下げられても構ないですか? と尋ねると、それは困りますという返事です。

景気がよくて、人手不足でも給料がどんどん上がるわけではない理由の一番はここにあります。

 

逆に言えば、業績が悪化すれば簡単に給料を下げられるとか、クビにできるという社会であれば、かなり簡単に給料は上がります。日本の場合は、給料を下げることすら難しいのですし、ましてやクビにすることなどは、とてもハードルが高いです。

 

しかし、実際の収入は給料だけではありません。実は、多くの人の収入は業績向上や人手不足に応じて上がっています。

一つは、賞与の支給額です。賞与はとても日本的な制度で、給料の硬直性を補うものです。

アメリカやヨーロッパなどの先進国では、幹部社員や役員には業績に応じたボーナスやインセンティブがありますが、一般従業員に賞与が出ることはあまりありません。

中国などアジアの会社では、日本の影響もあって、賞与制度が割と一般的です。しかし、期末手当の増減とか、ときには社員旅行のグレードの良し悪しとかのイメージで、日本ほど割合が大きくありません。

 

もう一つが、残業代です。働き方改革という問題もあるのですが、残業代が収入の調整役を担っていることは確かです。残業代として支給される金額が残業時間だけに比例していないことも多いでしょう。会社の業績がよくなれば(残業時間にあまり関係なく)残業代が増え、逆の場合は残業代が減ることで調整されています。

 

給料は据え置いて、賞与と残業代で調整するのは、とても日本人的な知恵です。しかし、運用に恣意的なところが大きく、上司次第・運次第でもあって、問題も多いです。

日本の社会が、本気で働き方改革をすすめ、生産性向上を目指すのであれば、給料の下方硬直性を緩める、つまり不況であれば給料が下がる、という仕組みのほうが望ましいですね。

まぁ、長年の文化は変えにくいでしょうが・・。