企業の社会的責任:CSR(Corporate Social Responsibility)は定着してきました。
会社は単に利潤を追い求めるだけでなく、社会的な責任を果たして、より良い企業市民として利害関係者全ての福祉の向上に貢献しなければなりません。
自然人である消費者には、SRB(Social Responsible Buying:社会的責任購買)の考え方が求められます。
山口県で農業経営に携わる若手経営者の皆さんは、よい農産物を生産することに一生懸命です。また、その生産の過程でも環境負荷を最小限にして、農業の持続的な発展を目指しています。美味しくて、栄養があり、安心安全な作物を消費者に届けようと努力しています。
昔はこの農業の現場は、ごく身近にあって、どこの誰が作った作物かを分かって食べていました。それが、スーパーの棚に並んだ作物を選んで買うだけで、どのような作り方をしたものかがわからなくなりました。近年は農と食の距離は開いてきました。
極端に言えば、きちんとした作り方でつくった野菜と、環境を汚染しながらつくった野菜の区別は簡単にはできません。仮に、消費者が商品を選択する基準が価格だけであれば、後者の野菜ばかりが売れて、前者の生産者は駆逐されてきます。
確かに、CSRが広く理解されるようになった近年では、販売店側が悪質な生産者を排除するようになってはきました。しかし、消費者の側の意識の変化も重要です。
その作物がどのような作り方をしたものかを考慮したうえで購買行動を起こして欲しいものです。そのためには、農と食の距離を短くしていくことが大切です。
スーパーでも野菜の生産者の顔写真が載っているとか、生産の方法(こだわり)を説明しているとか、増えてきました。良いことだと思います。農の側が食との距離を縮める努力です。
食の側からのアプローチももっと必要でしょう。飲食店で作物の情報を積極的に発信したり、調理番組なども単に玉ねぎ1個ではなく、どんな玉ねぎかを紹介するなど、興味を持ってもらうことです。最近、有名週刊誌が食の安全(というか不安)を頻繁に特集しています。
先ずは地域の生産現場を身近にすることですね。