トランプ大統領の自動車関税25%論

5月23日に輸入自動車と自動車部品に最高25%の関税をかけるとする方針を発表しました。

 

自動車組立ライン
自動車組立ライン

例によって、トランプ大統領独特のブラフなんでしょうが、結構ビックリします。自由貿易の先頭にある米国が、25%関税という政策を取ることは、現実的には無いとは思います。

 

特に愛知県を中心にした中部経済圏での影響について報道されていますが、山口県にも防府市にマツダの完成車工場がありますし、ブリヂストンの大型工場が2カ所、自動車部品の工場も多数あります。実行されると、影響は大きいと思われます。

 

マツダは、昨日国内生産の累計が5000万台に達したとセレモニーを開催しました。昨年のマツダの年間生産台数は97万台です。これは、広島市と防府市の2つの工場の合計です。

マツダの特徴は輸出比率が高いことで、生産の8割を超える79万台を輸出しています。但し、輸出相手国は中国が最大で、米国向けは21万台(22%)です。まぁ、それでもマツダの生産の2割以上ですから、インパクトがあります。

ちなみに、トヨタは国内生産319万台で輸出が182万台(57%)で、うち米国向け71万台(22%)です。

 

日本の自動車全体でみると、米国向けの輸出は完成車で4兆4千億円・部品で2兆8千億円の合計7兆2千億円です。一方で米国からの輸入は、完成車は900億円・部品は7千億円で合わせて8千億円ですから、米国からみると6兆4千億円の入超です。

しかも、日本は米国車の輸入に関税は掛けておらず、米国は2.5%くらいに関税を掛けています。単純に考えて、米国が25%の関税をかけたくなるほど、日本車がそれだけ優秀であるということです。

 

こういうと、米国側は日本には関税以外の障壁、安全基準とか環境基準とか社会的なルールなどがあって、米国車の輸入を妨げているという主張をします。しかし、米国には米国独自のルールがあって、日本やドイツの自動車会社はそれに適応したクルマを開発して輸出しているわけですから、ちょっとナンセンスです。日本政府としては、米国メーカーに日本国内で売れるクルマ(簡単に言えば故障が少ないクルマかな?)を開発してくださいというわけです。

 

おさらいすると、米国の自動車輸入台数は年間800万台ほどで、日本のシェアは約2割の160万台です。しかし、最も多くを輸出しているのはメキシコの240万台で、その過半はフォードやGMなど米国企業のメキシコ工場になります。

また、米国内の自動車生産は約1200万台ですが、そのうち400万台はトヨタや日産など日本企業が生産しています。

 

自動車のように高度にグローバル化した製品では、関税のかたちで障壁を高めることが自国経済に有利に働くわけではありませんから、普通は選択しないと思われます。しかし、トランプ大統領の目的は、選挙での白人労働者向けパフォーマンスだけという指摘もあるので、実行する可能性はありそうです。油断はできません。