奄美・沖縄の世界自然遺産への登録の是非は?

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」に、IUCNが「登録延期」勧告をしました。

 

環境省 エコジン 2017.12/2018.1号
環境省 エコジン 2017.12/2018.1号

世界自然遺産への登録に向けて、いろいろな活動をおこなっていた地元の皆さんにとっては残念な結果になりました。

 

「登録延期」の勧告が出たので、事実上は登録は難しくなったようです。中川環境大臣もインタビューで推薦取り下げも考えると言っています。

 

世界遺産についての熱狂も最近では一段落している印象です。奄美・沖縄が推薦されていたことを知らなかった人も多いのではないでしょうか?「登録延期」のニュースもそれほど大きくは報道されませんでした。

ちなみに、右の画像に環境省の広報誌「エコジン」のリンクを貼っていますので、奄美・沖縄の自然遺産について参照ください。

 

ただ、今回の登録延期に少しホッとしているという部分もあります。それは、最近の観光ブームで奄美大島や徳之島への訪問客数が大幅に増加しているので、これ以上の評判はむしろ環境破壊につながるのではないかという懸念です。

 

奄美大島は面積約700㎢で、東京23区より広いのですが人口は4万人余りです。この島に昨年1年間で訪れたのは人口の10倍を超える47万3千人です。

徳之島も意外に大きな島で面積約250㎢で、人口は約1万人。同じく昨年の入込客数は13万人に上ります。

 

自然を楽しむ観光が盛んになることは素晴らしいですし、世界自然遺産に登録されて保全が進められていくことも望ましいことです。しかし、人の活動はどんなに環境に配慮したとしても自然に負荷をかけてしまいます。このくらいで止めておいてもいいのかも知れません。

 

世界遺産に登録されたからと言って、国連から資金が出るわけでもありません。日本人の総意として、政策として、きっちり奄美・沖縄の自然を守るということができれば足ります。

このところ、環境省からの発信が一層弱くなっています。もうひと踏ん張りしてもらいたいと思っています。