金正恩は国民を持て余しているようだ

歴史的な南北首脳会談が開催されました。板門店宣言に署名した後の会見での印象です。

 

南北朝鮮
南北朝鮮

今日、南北朝鮮の首脳による会談が、朝鮮戦争停戦のための軍事境界線上にある板門店で開催されました。

歴史的に意味のある会談だったと言えます。

 

南北関係の変化というか、北朝鮮の変化のスピードも歴史的に非常に稀な速さだと思います。

 

2011年12月17日に金正日が亡くなって、三男の金正恩が最高指導者となってから6年余りです。

この間に、核兵器開発を完成?させ、ICBMを完成?させ、日本列島の周辺にミサイルを打ち込みました。

昨年2月には兄をマレーシアで化学兵器で衆人環視の下で殺し、その前後にも多くの先輩や恩人を虐殺しています。

この期間、自らを取り巻く一部の特権階級以外の国民は、貧困と飢餓に喘いでたくさんの死者も出ています。

 

さて、今回の会見で印象的だったのは、金正恩が北の国民が南に行くことを認めるという趣旨の発言をしたことです。

金正恩にとって、体制の維持というか、自分の生活や生命を守るということが最も重要だとすれば、最大のリスクは自国の国民にあるのではないかと思います。自国民に襲われるという危機感が、金正恩には高まっているように感じられます。

 

北朝鮮の人口は2500万人を超えています。天候不良の影響もあって、食糧事情が著しく悪化しています。中国国境を越える脱北者も増えています。昨年末に韓国に逃げた軍人のおなかのなかには少量のトウモロコシの粉しかなく、大きな回虫が棲んでいたそうです。

また、この冬には、たくさんの漁船が日本海側に漂着しています。兵隊の数は102万人ということですが、養えないのでオンボロ船で冬の海に送り出したわけです。

 

北朝鮮の富裕層は約25万人で、一定の生活ができる市民は約400万人と言われます。餓死寸前で疲弊した2000万人の農民労働者と100万人の兵隊が、400余万人の生活を支えるのが構図でした。

しかし、もう農民労働者も役に立たなくなってきて、お荷物になってきたようです。100万人の兵隊も、核ミサイル1発で代替できるのなら不要な存在です。

 

どうやら、金正恩が考えているベストシナリオは、自国民のリストラのように思えます。

最も飢えている500万人くらいを韓国に引き受けてもらって、見返り?に日米韓から資金支援を受ける。核ミサイルは温存して、自国の体制は維持し続けるということのようです。

 

さて、日本にとってのベストシナリオは何ですか? 本来は、昨日の国会審議のメインテーマだったはずですが、野党は欠席してしまいました。これで、いいのかなぁ?