八が岳遭難。七人全員滑落って何故?

八ヶ岳連峰・阿弥陀岳での滑落事故です。3人が死亡、4人重軽傷の大事故ですが何故?

 

伯耆大山
伯耆大山

ニュースで聞いたときに、ビックリしました。ビックリした理由が、他の人と少し違っていて、7人もアンザイレンできるのか?って疑問です。

 

アンザイレンは、2人か3人(最大でも4人かな?)でするものと思ってしました。

私の登山経験は35年前で終わっているのですが、当時のザイルは11㎜径で40m長というのが最新のものでした。この40mのザイルでは、7人がつながることは不可能です。一瞬、40÷6=6.6mだから可能のようにも思えますが、一人が持ている余裕長さが少なくても4mはあるでしょうし、両端の使えない長さが各1mとすると、2m間隔で雪面を急登するという計算になります。

 

余裕長というのはアンザイレンしてコンテニュアスで進む場合は、それぞれが4~5巻きくらいのザイルを手に持ちます。前後の人との距離を調整する遊びであることに加えて、万一誰かが滑落したときにこの巻いたザイルを雪の上に投げ出して、その輪の中にピッケルを差し込んで確保するためです。

 

そこで、調べてみると最近は9㎜径で60m長のザイルなどがあるようです。技術が進歩して、9㎜径でも以前の11㎜径と同様の強さがあるのだそうです。計算してみると、両者の容積はほぼ同じ(つまり重さも同じ)ですから、より軽量化になるわけです。

今回のパーティーがどんなザイルを使っていたのかは分かりませんが、こういう細径長尺のザイルだったのかも知れません。径が小さくなれば表面積が小さくなるので、摩擦抵抗が減って確保するのが難しくなるような気もします。

  

山岳遭難統計
山岳遭難統計

それにしても、今回の事故は先頭の方が最初に滑落して、後方6人が一緒に落ちたということです。コンテニュアスの先頭は技量が飛び抜けた(絶対に滑落しない)人が務めているはずです。

 

事故の原因はこれから明らかになってくるでしょうが、少しでも危なっかしい場所をコンテニュアスで登るというのは問題です。

ピッケルがしっかり刺さらないようなところをコンテニュアスで行くのも普通はないと思います。

 

山の事故は、愛好者が増えたこともあって大幅に増加しており、歯止めが利きません。

何とか、再発を防止するような方向性が示されることを期待しています。