人は見たいように見るが、ロボットは見えるように見る

錯視の研究で有名な明治大学の杉原先生は、元々ロボットの目を開発していたそうです。

 

不可能図形
不可能図形

トリックアート・ミュージアムなど、錯覚(特に錯視)を利用した展示物は子供にも大人にも大人気です。山口市の県立博物館や防府市の青少年科学館ソラールなどでも、錯視の展示は盛り上がります。

 

たまたま、他の作業をしながらテレビをつけて放送大学で「錯視の科学」というのを見ていました。そのなかで、有名な明治大の杉原先生のインタビューがありました。

 

先生は電子技術総合研究所でロボットの目で対象を把握する技術の研究をされていたのだそうです。

 

その過程で、実際にいろいろなモノを、いろいろな状況でロボットに見せて、どういう認識をするのか確かめたのだそうです。そのときに、錯視を利用した現実には存在できない不可能図形をロボットに見せてみました。

すると、あるモノはロボットが合理的でないと棄却するのですが、あるモノはロボットが合理的として採択する場合があったのだそうです。

 

不可能図形をつくる
不可能図形をつくる

 

つまり、不可能図形がやり方によっては可能であるというわけです。例えば、左上の不可能図形も左のように作ることができます。

 

これをきっかけにして、先生は錯視(錯覚)の科学を研究の中心にされていったそうです。

先生のテーマは、

・錯覚の仕組みを、数学を使って調べる。

・錯覚の強さをコントロールする。ということです。

 

錯覚とは、人間が過去の経験などを蓄積したうえで、資格情報のなかで不適合な部分を、人の脳が意図しないで修正したり追加したりするから起こります。

とても人間的な行動で、その仕組みを数学的に説明するのは難しかったと思われます。その解明のブレークスルーのきっかけがロボットの目というのも面白いです。

意外にロボットの冷静な目でみた判断のほうが、より人間的な結果を出すものなのかもしれませんね。