中小企業が収益を維持拡大するには「差別化」が重要です。差別化なんてできないと考えずに、一生懸命に考えると成功の道がきっと見つかります。
確かに、差別化がやり難い業種というのはあります。わかりやすい例として、セルフではないガソリンスタンド(SS)が典型的です。
先ず、主力商品であるガソリンが、どの店で買っても同じ品質です。差別化のしようがありません。そこで、ついつい価格勝負になっていきます。隣の店より1円安い単価を目指します。これを隣の店も追随したら、果てしない価格下落で利益なんて出ません。
もちろん、セルフスタンドの場合はガソリンの販売量(計量器の稼働率)で利益を確保するので、薄利でも価格勝負で大量販売を狙います。
そこで儲かっているSSでは、ガソリンを主力商品とは考えていません。洗車や修理・車検などのサービスかタイヤなどの消耗品で利益を確保しようとします。油外売上と言います。ガソリンは主力商品ではなく、客を呼び込むアイテムというわけです。サービスや消耗品でなら、差別化のアイディアは湧くのではないでしょうか?
山口県のような地方では、地域のSSの重要性は際立ちます。過疎地でSSが廃業して地区に無くなることは、地域生活に直結する大問題です。SSは自動車燃料だけでなく、家の暖房給湯や農業用の燃料など欠かせません。街に働きに行く人は、街の方がガソリン価格が安いのでそちらで給油して帰ります。みんながそうすると、地域のSSは立ちゆきません。
しかし、SSの経営者は恨み言を言ってばかりではいけません。それでも、経営が成り立つようにしなければいけません。最近では過疎地のSSを自治体が支援する制度もできています。
支援に頼らなくても、家庭や事業場への燃料配送で差別化を果たして自主自立した経営を続けているスタンドもあります。米や野菜に日用品を商っているスタンドもあります。大胆に柔軟な発想で、考えていきたいものです。