「大丈夫!」と思ったときが実は一番危ない

明日は3.11です。7年が経ちます。多くの人の人生に大きな変化をもたらしました。

 

花は咲く
花は咲く

あの日は東京港区の自分の会社に居りました。数時間の間に多くのことがありました。

それでも、あの日に最も印象に残っているのは、夜も遅くなって、何万人もの都心で働く人が、自宅に向かって幹線道路の歩道を、ほとんど無言で、整然と歩いている光景です。

自分もその一人だったのですが、あのとき頭の中を何が巡っていたことを説明することはできません。

 

心理学で「認知的不協和の低減」という言葉があります。ちょっと申し訳ないのですが、ビジネスの世界では顧客のこの心理を利用した販売促進法はよく使われます。

「認知的不協和の低減」は、アメリカ人のフェスティンガーという人が、インドで起こった大震災のときの流言の研究から見つけた理論です。

 

”認知的不協和”というのは、認知1「私の会社は地震の備えをしていない」・認知2「地震によって会社の設備が動かなくなる可能性がある」という二つの認知は矛盾します。

この矛盾を解消するには、認知1を「私の会社は地震の備えをする」に代えればいいわけですが、コストやパワーが必要です。そこで、新たな認知「地震があっても会社の設備が動かなくなるとは限らない」「地震の発生確率は低く、そのときは違う事業をしているかも知れない」などを加えて、矛盾を緩和します。

 

このように、認知の矛盾による不快感を「認知的不協和」といい、認めたくない情報を認めたい情報に置き換えることを「正常化バイアス」といいます。人は精神の安定を保つために、認知的不協和が低減するような心理が働くのです。

 

EMSでは緊急事態の対応として試験や訓練をおこない、評価をします。評価の結果、私の会社は「大丈夫!」と思ったときに、これは正常化バイアスかも知れないと考え直してみることは大事です。「大丈夫!」と思ったときが実は一番危なかった、ということもあります。