中小企業が生物多様性へ取り組むヒント

全社を挙げて環境課題に取り組んでいても、生物多様性には関係ないという会社は多いです。

 

きらら浜の鳥
きらら浜の鳥

土木建設業・木造住宅建築業・製紙業・医薬品製造業・食品製造業など、生物資源を直接使っている事業者さんは生物多様性に重大な関心を持っています。

 

飲食店も生物資源を利用しますし、農水産物を輸送する運送会社さんにとっても生物多様性は重要な課題です。

大工場やショッピングモールは土地を造成して建設されますから、生態系への影響は甚大です。

観光に関連するビジネスでは、地域の自然が守られていることが企業価値そのものです。

 

ところが、鉄工所などの機械金属系の製造業や日用品を運ぶ流通業、会計事務所や保険代理店のようなサービス業では、生物資源を直接扱わないので、生物多様性とは関係ないという会社さんが多いです。

EA21(エコアクション21)では、生物多様性に関する取り組みを推奨していますが、当社は関係ないとしている会社が確かにあります。しかし、生物多様性と関係せずに事業をおこなうことは不可能で、関係性が高いか低いかというだけです。

 

自社の事業は本当に生物多様性と関係ないのかを考えてみましょう。

水(淡水)を使うことだけでも生物多様性に影響を与えます。電力や燃料を使うことは温室効果ガスの排出を伴うので生物多様性に影響しています。商品の発送や原料の入荷に物流を使うのも同じです。

鉄工所や機械金属製造業では、原料になる鉱物資源の採掘は生物の生息に影響を与えています。もちろん、工場から水域や大気中に何らかの排出があるなら影響はあります。

会計事務所や保険代理店でも、クライアントの活動を通じて生物多様性に大きな関連をしているケースがあるでしょう。

 

つまり、生物多様性に関係ないというビジネスは無いのです。

 

地球は約46億年前にできました。最初の生物(細菌のようなものです)は約36億年に誕生したといわれます。進化と分化を繰り返して、現在の地球上には約3000万種の生物がいます。

ところが、人間の活動によって毎年4万種が絶滅しているのです。生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性を守らなければ、地球の未来をつなげません。