異業種の会社が農業に参入する意義

2009年の農地法改正でリース方式が採用されて企業の農業参入が原則自由化されました。

 

一般法人の農業参入の動向
一般法人の農業参入の動向

図は「一般法人の農業参入の動向」を示しています。2016年末で全国2676法人が農業に参入しており、山口県内でも42法人に上ります。

 

従来は、企業が農業へビジネスとして参入するには高いハードルがありました。農業生産法人となるには、農業者であることが原則です。例えば、農外の事業者が農業に出資できるのは1者10%以下、全体で25%以内という制限がありました。

 

このため、参入できる企業は経営者自身が農家を営んでいる建設業者や食品産業などに限られていました。その後は、特区制度での規制緩和がおこなわれたことから、ワタミなどの外食産業やカゴメなどの食品産業など農業関連業種からの参入が徐々に増えていました。

 

2009年に農地リース方式での農業参入が可能になったことから、現在では農業に関連しない全くの異業種からでも参入ができるようになりました。

この頃は、ちょうどリーマンショックのときでしたから、企業は雇用維持の目的もあって参入した企業もたくさんあります。何にしろ、農業は決してなくならない産業ですから、雇用の安定には確実に貢献します。その点で農業は、事業環境の変化に翻弄される企業にとっては魅力的な産業です。

 

もちろん、現在では純粋にビジネスとして、収益を上げる目的での参入が増えています。グラフでわかるように、農業経営へ参加する法人が大幅に増加しています。安定収益を上げている企業も少しづつ見受けられるようになりました。

山口県のような地域では、農業への異業種参入は地域活性化にも大いに貢献します。もっと増えていってもらいたいものです。

 

但し、企業が農業に参入する際の留意点は、黒字になるまでに数年以上の時間は必ずかかるということです。私が手掛けた完全人工型植物工場でさえ、栽培には思った以上に手間がかかります。農業は生物を扱うという点で、時間と手間が必要です。土耕であればさらに土地改良にも時間がかかりますし、ノウハウを持つ人材を育成しなければなりません。

 

企業はできるだけ早く事業化・収益化したいので、小規模な野菜栽培が主流になります。水稲や果樹・花きなどへの参入は少ないのが現状です。水稲はともかく、果樹・花きには大きな資本を持つ企業の参入は好ましいと思います。