サービスって何?<語源辞典から>

サービスという言葉は、奴隷とか召使とかが語源というのは皆が何となく知っています。

 

サービス業 お辞儀
サービス業 お辞儀

語源辞典によると、サービスは英語のserviceからきています。serviceは、serve(仕える・奉仕する)からきています。serveは、ラテン語のservier(奴隷・召使)からきているそうです。

 

serviceは、奴隷や召使が主人の世話をすることを意味していたわけですが、英国で14世紀頃から国家公務員の仕事をserviceと言うようになったことから、本来の意味から外れていったそうです。

公務員は公僕であるという考え方が表れてきたということです。

 

その後、serviceの意味は主人に命じられて(否応なしに)する奉仕ではなく、親しい間柄で支援をするとか、便益を与えるという意味に少しづつ変わってきたようです。さらに、特定の間柄でもなく広く社会の役にたつような行為や公共インフラをserviceというようになっていきます。サービスという言葉は、700年という時間を経て、奴隷使いから現在のサービスという意味に変わっていったというわけです。

 

語源を記した辞典には、『日本においてサービスという言葉を最初に使ったのは、日本自動車会社の社長・石沢愛三である』と書いてあります。石沢氏は、自動車ディーラーの草分け的存在で、「日本自動車」「ダットサントラック販売」をリードして業界の発展に尽力した方だそうです。

 

つまり、日本で最初のサービスは「サービス・ステーション」つまり、ガソリンスタンドのことを言ったわけです。当時、アメリカで"service station"といっていたのを、上手い和訳が見つけられなかったので、そのまま”サービス”という用語ごと輸入したのです。

日本人は和製漢語をつくる優れた才能を持っていますが、serviceは時代によって意味が進化(あるいは深化)していく言葉です。敢えて漢語にしないで、そのまま使ったのは卓見だったかも知れませんし、少なくとも現代人にとっては僥倖だったように思います。