ファーストフードチェーンや居酒屋では樹脂箸のほうが優勢のようです。
環境に関連してよく話題になるのが、割り箸は森林破壊をもたらし地球温暖化の原因になるという説です。そこで、マイ箸を持っていく運動が盛んにおこなわれ、最近ではファーストフードチェーンでは樹脂箸を使うようになってきました。
割り箸が環境に良くないというのは誤解があります。東京大学の井上雅文教授が調べたとことによれば、温室効果ガスの排出量は、端材利用の国産割り箸を1とすれば、樹脂箸は3.5倍になるそうです。樹脂箸は石油製品ですから作るときに温室効果ガスを発生させるのですが、それ以上に洗浄段階での排出量が大きいそうです。
そうか、割り箸のほうが環境にやさしいじゃないか!と思うと、これも間違いです。あくまでも、端材を使った国産の割り箸なら環境負荷が小さいということです。
これが、中国やベトナム、ロシアなど海外産の割り箸となると、樹脂箸より30%くらい多く温室効果ガスを排出します。
じゃあ、国内の森林を守って、発生した端材を使ってつくった国産割り箸を使えばいいということになりますが、そうはならないのです。
何故なら、林業従事者が慢性的に不足していることもあって、国産割り箸は割高です。平均すると1膳が4円くらいかかります。これが海外産割り箸ですと約1/3の1.5円で済みます。
海外産のほうには輸送費がかかるじゃないか?と思うかも知れませんが、上海~東京間の船賃のほうが、山口~広島間のトラック運賃より安いのが現実です。
つまり、もっとも合理的な解決策は、国産割り箸のほうが環境によいのだ!と多くの人が認識して、お店がコストを負担してでも使えるようになればいいのです。しかし簡単にはそうならないので、現実にはファーストフード店にとって、原価2.5円の差は大きいです。これからも、海外産の割り箸を使い続けるでしょう。なかなか難しい問題です。
最後に、割り箸1膳とテッシュペーパー2枚(2セット=4枚)がほぼ同じ量の木材を使っています。せっかく、マイ箸持参でエコな食事をしたはずなのに、食後にテッシュペーパー(お店の紙ナプキンも同じです)で口元を拭うのでは、その志しも台無しです。気をつけましょう。