”賃金の上昇が物価の上昇を上回るべき”って変じゃない

賃金は確かに増えているが、物価の上昇のほうが大きいので、実質賃金は減っている?

 

野菜価格は高くなっている
野菜価格は高くなっている

ラジオのニュース解説で言っていました。「雇用者の実質賃金が下がっているのだから、経済政策は失敗している」という主張のようです。

なんだかおかしくないですか?

 

皆がみんな、雇われて働いている人ばかりではありません。個人事業主や中小企業の経営者、農業や漁業に従事する人など、雇われていなくて稼いでいる人もいます。物価が上がっているというのは、そういう人の収入は増えているということですよね。

 

診断士の仕事をしていると、雇用者より少ない収入や厳しい条件で働いている経営者や事業者にたくさん会います。日本は雇用者に異常なまでに優しい国ですし、多くの経営者はお人好しで従業員に優しいのです。

 

賃金と物価の関係を教科書的に言えば、「賃金を上げる→個人消費が増える→物価が上がる→企業業績が良くなる→賃金が上がる(元に戻る)」というサイクルが廻ります。中小企業や小規模事業者の場合は、企業業績が上がる=経営者の生活が改善されるということです。

 

このサイクルをよく見えると、「賃金を上げる→個人消費が増える」という繋がりが重要です。現在の日本で、先に賃金を上げても個人消費が増えるとは思えないでしょう。高齢化が進み、買いたいものが見当たらない人が増えています。社会保障はそれなりに手厚いのですが、賃金を上げても貯蓄に回すばかりのようです。

 

そうであれば、先に物価を上げて、個人事業主や経営者の生活を改善することをきっかけにしたほうが健全かも知れません。「物価を上げる→企業業績が良くなる(事業主や社長の生活が豊かになる)→賃金が上がる→個人消費が増える→物価が上がる(元に戻る)」です。