景気の好循環を考えるときには、民間設備投資の動きを見ることが重要です。
景気が良くなってくると、設備投資が増えていきます。設備投資が増えると、生産が増えて、雇用が増えて、給与が上がり・・・という好循環が生まれます。
設備投資の推移は注目されます。
右のグラフを見ると、設備投資は堅調に伸びているようにも見えます。
しかし、企業は景気回復と為替動向などによって利益を膨らませています。これが、設備投資や賃上げにつながらないで、内部留保に回っているという批判が、特に政府与党側から聞こえます。
足下では東京オリンピックなどの大型投資もあることから、投資計画は高めに振れていくので、アリバイづくり(実績づくり)の感じも少しします。
結局のところ、設備投資は事業者のリスクですから、どこまで設備投資をしていくのかは、経営の意思決定次第です。
現在の重要な設備投資案件は次の3つです。
1)主に製造業での設備リニューアル。1970~1990年代に取得した設備が老朽化しており、その更新が必要になってきています。新しい設備は省エネなどの性能が格段に向上しているので、リニューアル・リプレイスはコスト削減(収益改善)につながるケースも多くなっています。
2)省力化省人化への対応。人手不足・人材不足を乗り切るための設備投資が増えている。生産設備の自動化は既にある程度進んでおり、サービス業や事務的業務での省力化にも取り組むようになっています。
3)IT・IoT化への対応。人手不足も関係しますが、IT・IoTへの取り組みは加速してきています。物流分野など、この1~2年で情報化対応が劇的に進んだ業界もあります。
いずれにせよ、企業の利益配分としての設備投資という考え方もあります。
日本企業の資本装備率(従業員1人当たりの設備投資の大きさ)は、一般に欧米に劣ります。特に、サービス業のIT装備率は米国の1/3程度です。設備投資計画を練る必要がありますね。