家庭からの食品ロスには少しの配慮を

日本の食品ロスは年間約621万トンに上り、国連による世界の食糧援助量320万トンのほぼ2倍にもなります。由々しき問題という認識は、確かに正しいですが・・。

 

農水省HPより
農水省HPより

本来食べることのできる食品を、年間621万トンも棄てているということです。ショッキングな数字ですし、何とかしなければならないと強く思います。

621万トンを分けると、事業系から339万トン・家庭から282万トンが排出されています。

 

事業系のロスというのは、食品工場で異物混入などで規格外のものが出来た場合・スーパーやコンビニの売れ残り・レストランなどでの食べ残しなどです。この事業系のロスは、事業者にとっても損失になりますから、いろいろな施策をとることで年々減ってきています。経済合理性は施策を推進する大きな力です。

 

問題は家庭からのロスですが、これを減らすのはなかなかやっかいです。食事の際の食べ残し、買い過ぎの廃棄、調理のときの過剰除去などでロスが発生します。

家庭から出るという年間282万トンは凄い量ですが、割り算すると、282万トン÷1億3千万人÷365日=60g/日になります。多いなぁと思われますか?それとも、それぐらいは出ると思いますか?

 

まぁ、一般的に家族4~5人の世帯で1日300gのロスは出ないと思うのですが、単身世帯では1日60gのロスは出している可能性が高いでしょう。

実は、家庭からの食品ロスの要因としては、高齢者や中年層の単身者が増えていること。単身でなくとも核家族化や夫婦二人世帯の増加など、一世帯の規模が小さくなっているという背景があります。このような世帯が食品ロス抑制を徹底するのは結構厳しいです。

 

食品ロス抑制の最も簡単で効果がある方法は、外食あるいは中食の利用です。宅配のお弁当で3食を賄えば、全体として食品ロスは大幅に減ります。自分で調理をしようと思うから、材料を買い過ぎたり、食べ残すほど作ったりするのです。

しかし、3食を弁当では味気ないですよね。食事はつくる楽しみもありますし、生活のアクセントとしての調理ということもあります。特に高齢者の場合は、生活の質を維持するためにも必要です。

 

必ずしも合理的な解決策が社会にとって良いか考えることも大事なような気がします。