事業承継計画の前に事業再生を

簡単に言えば、すぐにも倒産するかもしれない事業を、後継者に引き継いではいけません。

 

事業引継ぎ
事業引継ぎ

まぁ、後継者の方も「あとはよろしく!」なんて気楽に言われても、「まかしとけ!」と安請け合いできません。

 

中小企業の場合、事業承継の機会は事業再生のチャンスであることは確かです。

現在の経営者が事業を懸命に立ち直らせて、事業再生が完成したあかつきには退任して、後継者にバトンタッチする。こういう筋道が社内外にはっきりしていれば、利害関係者の協力を得やすく、成功の確率はグッと上がるというものです。

新しい後継者の下で新しい未来があると、全員に確信させることができれば、その会社が永く生々発展するきっかけになるでしょう。

 

 

事業承継と事業再生を同時に行う場合のメリットは、経営者が事業のやり方をガラッと変えることができることです。経営者は承継までの短期間を担当するリレーゾーンを走るのですから、走り方を変えても構わないのです。組織を変えても構いませんし、人事を一新したって構いません。後継者の意見を聞きながら、経営者が自らの責任でおこないます。

 

会社は、後継者に引き継ぐ時点では事業は営業利益を上げていなければなりません。更に、営業利益では少なくとも金融機関借入の約定返済ができることが必要です。この最低条件をクリアできなければ、事業は引き継げません。

 

何年・何十年と事業を経営していても、経営者がチェンジにチャレンジできるチャンスは何度もなかったかも知れません。最後にして最大のチャンスです。

これまでも右腕・左腕になってくれる参謀はいたかも知れませんが、今は次期経営者が傍らにいるわけです。覚悟も違いますし、若い柔軟で大胆な発想で力強い意見を出してくれるでしょう。経営者が、最後の責任を果たすのだ、という強い決意を持つことです。