税金の無駄の裏側・・会計検査院の報告

会計検査院が平成28年度の無駄遣いを指摘しました。総額で874億円で近年では稀なほど少ない金額です。

 

会計検査院
会計検査院

 

前年の平成27年度の指摘額は1兆円越えの1兆2189億円でした。

遡ると、平成26年度は1569億円、平成25年度は2831億円です。平成22年から24年度は毎年5000億円前後で推移していて、平成21年度は過去最高(最悪?)の1兆7905億円が指摘されています。

 

高額の指摘があるのは、国の外郭団体が剰余金の返納をしていないというものなので、金額の多寡はあまり意味を持ちません。平成21年度は国鉄民営化の後に設立された鉄建機構の剰余金1兆1千億円を国庫に返納するべきという指摘で、昨年は預金保険機構の剰余金1兆900億円がムダだと指摘されたものです。

 

まぁ、大きい金額は置いておきます。会計検査院のウェブサイトで過去の報告書を眺めたのですが、実に分かりにくいです。そもそも会計検査とか税務監査とかいうのは不思議な仕事で、金額の多寡に関わらず不当であるかどうかを判断します。

1兆円の検査も100万円未満の検査も同じ労力を掛けているのではないかと疑われます。

☞ 会計検査院ウェブサイト 「最新の検査報告」

ちなみに、会計検査院そのものも年間170億円超の税金を使います。

 

さて、税金のムダを指摘されることの多い中小建設業ですが、設計と施工の間にズレが生じて税金のムダが発生することがあるのは事実です。設計では1000万円かかるとしたが、実際は500万円で済むはずだったので、税金500万円をムダにした。あるいは、設計1000万円で施工も1000万円で完工したが、所定の機能の半分しか発揮しなかたので税金500万円をムダにした。といったケースです。

 

しかし、逆のケースもあります。と言うか、逆のケースの方が圧倒的に多いのではないか?と疑っています。つまり設計では1000万円でできるとして発注したが、実際は1500万円かかる内容だったが、予算が決まっているので500万円は建設事業者に負担させた。設計1000万円で施工も1000万円で完工したが、建設事業者の知恵で2倍の機能が付加されたが追加の報奨は一切ない。といったことです。

 

どうにも理不尽な感じがします。中小建設業に対して、談合や手抜き工事のイメージを未だに持っている人もいるかも知れませんが、今やそんなことはありません。真面目に技術革新に取り組み、技能の向上に研鑽を怠らない事業者が多いのです。

設計と施工のズレによる税金のムダの指摘の裏側には、国民が得した部分(建設事業者が泣いた部分)も少なからずあるのです。