”落とし物、90秒に1件” 微妙な表現です

岡山県の中国自動車道でトラックが落としたスペアタイヤが原因の死亡事故が発生しました。

 

高速道路
高速道路

岡山県での事故をきかっけに、各新聞が同じように「高速道路上の落とし物は90秒に1件」という見出しを出しました。

 

 

1年間が約3156万秒(365.24×24×60×60)で、これを全国の高速道路で年間に処理される落とし物の総数である36万3千件で割ると86.9秒になります。

これを丸めて、「90秒に1件」という報道です。

 

こういう数字の表し方はよくあるのですが、果たして読者に対して有効なのでしょうか?

日本のどこかで90秒に1件と言われても、日本は広いですからピンときません。

もっとシンプルに、年間で36万3千件ということは、全国のどこかの高速道路で、1日に約1000件の落し物が処理されているわけですから、「落とし物、1日に1000件」というほうがスッキリしているかもしれません。

 

また、高速道路の総延長は約9000㎞ですから、「9㎞毎に毎日1件の落とし物」のほうがちょっと怖い感じがします。更に、落とし物を発見して処理完了までの時間を30分と仮定するなら、「400㎞走れば1件の落とし物に遭遇する」というほうがリアリティがありそうです。

 

面積を表すのに使われる「東京ドーム何個分」というのも、あまりピンときませんよね。

「〇〇秒に1件」は、全国という広がりの中での表現なので更にピンときません。

自殺サイトにまつわる事件が起きたので、日本では「24分に1人が自殺している」というような記事も出ますが、う~ん?どうなんでしょうか?

 

数字で読者にイメージしてもらう方法を工夫するのは、なかなかに難しいですね。