化審法の改正は企業競争力に朗報

昨日の続きです。中小企業には厳しめだった化審法の改正が成立して公布されています。

 

化学合成
化学合成

先ず、化審法の概要は昨日のブログで確認ください。

リスクの高いものから、「特定物質(1種・2種)」「監視物質」「優先評価物質」「一般物質」に分かれています。

 

主な改正点は2点です。

1点目は、新規化学物質の総量の計算方法を見直したことです。もっと言えば、大幅に緩和されます。

 

事業者が新規化学物質を製造したり輸入する場合には、有害性に関する審査を受けなければなりません。当然ですね。

この有害性の評価には、人や動植物への毒性だけでなく、難分解性とか蓄積性とか多くの項目がありますから、多額の費用と時間がかかります。

 

そこで、少量の製造や輸入しかおこなわないときには特例がありました。例えば、国内での製造と輸入量の合計が1トン以下であれば試験は不要です。10トン以下であれば、分解性と蓄積性の試験だけでOKです。

ここで注意が必要なのは、”国内の総量で10トン以下”というところです。環境への影響を抑えるのが目的ですから、国内総量という考えは正しいですよね。1事業者で10トンより、100事業者が1トンずつで合計100トンのほうが日本にとってリスクが高いわけです。

 

ところが、この規制では少量の化学物質を使用する際に、国に届出したら、総量が1トンとか10トンになるのでダメですとか、数量を減らしてくださいとか言われることがあります。そうすると、せっかく採用した原料が使えないとか、生産計画が立てられないとか、不都合が出ます。特に、電気電子産業などで困ることが多くなっています。

 

そこで、化学物質を総量ではなくて環境への放出量で評価するように変わります。例えば、ある化学物質を芳香剤で使用すれば100%環境へ放出されますが、電気電子材料の製造で使用するならば環境に放出されるのは1%くらいです。つまり、製造・輸入量に用途に応じた係数を掛けて、その合計が1トンあるいは10トンを超えないように規制します。

要するに、製造や輸入できる量が実質的に増えるので、中小製造業には朗報です。

 

ここまででちょっと長すぎましたが、もう一つの改正は「特定一般化学物質」の新設です。

いや~、何のこっちゃ?ですが、おさらいします。

現在は化学物質は、「特定物質」と(間に「監視」「評価」があって)「一般物質」に分かれているわけです。ここに、「特定一般物質」と、特定なんか一般なんか、はっきりしないカテゴリ―を新設します。建付けとしては、「一般物質」なんだけど毒性が強い物質というわけです。分類は複雑化しますが、販売する事業者側のリスク低減という効果は見えますので、一長一短かな?と思います。