神奈川県のマリンスポーツのイベントで配られたTシャツで皮膚炎などの健康被害が発生。
原因となった物質は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム (DDAC)というものです。
もちろん、どんなものか知らないので安全データシート(SDS)を調べてみました。
殺菌剤・消毒剤・防腐剤などで使用される薬品だそうで、当然ですが毒性があります。
さて、日本では化学物質に関する法律がいくつかあります。
SDSを発行し交付(公開)することは、「化学物質排出把握管理促進法(化管法)」によって義務づけられています。化学物質を購入あるいは使用する者はSDSの交付を受けます。また、誰でも、化学物質の性状や危険性、取り扱いの注意点などを知ることができます。
化管法のもう一つの仕組みがPRTR(化学物質排出移動量届出制度)です。事業者は化学物質の排出量と移動量を国に届出する義務があります。このデータは、誰でも利用できます。
結構しっかりした仕組みなので、皆さんがもっと活用するといいと思います。
化管法と並んで重要な法律が、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」です。化審法では、リスクの高い順に「第1種特定化学物質」「第2種特定化学物質」「監視化学物質」「優先評価化学物質」が定められています。
第1種は、PCBなど31物質です。製造や輸入が許可制(要するに原則として禁止)です。
第2種は、トリクロロエチレンなど23物質です。製造・輸入は届出制ですが、必要な場合には政府が変更を命じることがあります。リスクが高い物質ということです。
監視物質は、酸化水銀など39物質で、製造・輸入・使用の状況を報告することが必要です。
ここまでの93物質は、リスクが大きいので要注意です。
次に、優先評価物質は、227物質が指定されていて、監視物質と同じく使用状況などを報告します。優先”評価”というように、評価の結果で第2種特定化学物質に指定されることがあり、逆に一般化学物質になることもあります。つまり、一般化学物質よりはリスクが高いが、特定化学物質に指定するには(未だ)評価が足りないというレベルです。リスクがあるのは明確なので、きっちり管理をしましょう!ということです。
今回のTシャツに含まれていたDDACは、優先評価物質の一つでした。優先評価物質で馴染みがあるのは、クロロホルム・アセトアルデヒド・ベンゼン・トルエン・メタノール・シアン化ナトリウム(青酸ソーダ)・・などです。SDSを十分に理解して、しっかりした管理の下で使用されないといけません。
そんな化審法ですが5月の国会で改正が決まりました。産業界には朗報です。
ちょっと長くなりすぎたので、その内容は明日にします。