コンビナートの事故を無くさなければ!

山口県は日本一コンビナートが集積している県です。コンビナートで操業している会社は、地域の方のためにも、万一の事故の懸念を払拭しなければなりません。

 

消防庁:コンビナートの事故件数推移
消防庁:コンビナートの事故件数推移

右のグラフが消防庁が公表しているコンビナートの事業所での事故件数の推移です。

神戸や東日本の震災のときに、地震由来の事故が突出していますが、それを除いても近年は事故が相次いでいます。

 

交通事故だって、火災だって、みんな減っているのにこんなことでいいのだろうか?

コンビナートで事業をおこなう企業や、そこで働く人は、もっと気を引き締めなくてはいけません。

 

平成28年のコンビナートでの事故件数は250件です。ふ~ん、250件ね?と思ったかも知れませんが、コンビナートにある事業所は、日本に僅かに686しかありません。

石油1万㎘を基準にして、大規模な第一種事業所363と、それほどでもない第二種事業所323に分かれます。更に第一種事業所のうちで、燃料と高圧ガスの両方を使う事業所をレイアウト事業所と呼んで174あります。

つまり、レイアウト事業所というのは限られたトップ企業の大工場です。万一の事故は大きな被害を引き起こす可能性がありますが、安全管理は日本でトップクラスにあるはずです。

 

ところが、昨年起こった250件の事故のうち、レイアウト事業所での事故が176件です。

なんと、1事業所当り年間に1件以上の事故を起こしているのです。こんな状態を続けていて、いいはずがありません。

 

幸いなことに昨年は死者が出るような事故はありませんでした。しかし、負傷者(4日以上の休業)は32人です。死亡事故にならなかったのは、幸運もあったかも知れません。

 

特に気になるのは、災害の原因です。物的要因、特に”腐食等劣化”が増えています。設備保全の意識や技能水準が低下していないでしょうか? 今一度、点検をしましょう。

 

また、コンビナートの事業所は自衛消防隊を組織しています。事故の初期対応は自衛消防隊の役割ですが、その役割を発動する前に公設消防へ通報するのは当然の義務です。万一の場合には、技能も装備も、行政機関との連携も公設消防に委ねることになります。

ところが、昨年度の実績で、事故発生から通報まで10分未満は64件(26%)しかありません。60分以上かかったケースが28件(11%)もありました。これは大問題です。

 

コンビナート企業は、グループ会社や協力会社のメンバーも含めて、もう一度安全意識と基本の動きを徹底することが大事です。訓練での事前命令が骨身に滲みこむまで、繰り返し、しっかり確認しましょう。