役員貸付の税金(原則)

中小企業の場合、期末の計算書類に役員貸付が残っていることはよくあります。

 

社長の椅子
社長の椅子

役員貸付というのは、会社が役員(社長とか)に貸しているお金のことです。

 

役員貸付には、取締役会(ない場合は、株主総会)の承認が必要です。議事録を作成して、貸付額・利率・返済期間などを明記していないといけません。

 

ここで大切なのは、利息を取る必要があるということです。利息は、会社が金融機関からの借入で貸し付ける場合はその借入金の利率、そうでなければ特例基準割合による利率(現在は1.7%)になります。もし、無利息だと利息分が役員給与とみなされて、課税対象になります。

 

役員貸付は毎月の役員報酬の一部を充当して返済するのが一般的です。返済のために役員報酬を上げる場合がありますが、所得税や社会保険料が上がるので注意が必要です。

 

役員報酬の一部で返済できないくらい多額の役員貸付金があると最終的には清算が必要になります。

清算の方法としては、会社が債権放棄することが考えられますが、役員賞与とみなされますので、会社経費にならず、役員には所得税などが課税されます。

役員退職金との相殺という方法がありますが、実際に退職していないような場合は同じく役員賞与とみなされます。

役員が個人資産を会社に売却して相殺する方法もありますが、役員個人には譲渡所得税がかかります。

 

役員貸付は、役員(個人)が会社(法人)からお金を借りるので、デメリットが大きいです。金融機関からの評価は下がって、会社が融資を受ける場合にも不利になります。原則的には、決算を超えて残すことは、避けるほうが望ましいです。