「保育園閉じた。日本死ね!」にならないように

選挙になったので、また保育園の待機児童問題が聞かれるようになりました。

 

待機児童解消に向けた取り組み
待機児童解消に向けた取り組み

厚労省のホームページにあるグラフです。

 

山尾志桜里さんの「保育園落ちた。日本死ね!」が影響したわけではないのでしょうが、国も自治体も待機児童解消に邁進しています。意地になったように受け皿を増やしています。

今年度初めの全国の待機児童の数は26,081人で前年比で2,528人増加しています。しかし、これを以って問題が拡大しているので、さらに受け皿を増やしていってよいのかは考えどころです。

 

平成24年と平成29年の5年間の違いで見てみましょう。

女性の就業者割合が高くなっている。66.7%⇒72.7%(+6.0ポイント)

保育園の利用率が高くなっている。 34.2%⇒42.4%(+8.2ポイント)

(1,2歳児に限ると  33.0%⇒45.7%(+12.7ポイント)

この結果、保育の申込者数は増えている。 約225万人⇒265万人(+40万人)

待機児童の数は減っていない。24,825人⇒26.081人

 

しかし、保育の受け皿量は申込者数の増を上回る勢いで増えている。 約236万人⇒284万人(+48万人)

したがって、日本全体では保育園の定員充足率は下がっている。

仮に申込者数÷受け皿数であれば、95.0%⇒93.4%(-2.6ポイント)。更に、保育利用数÷受け皿数であれば、平成29年は89.8%と90%を下回ってきている。

 

各自治体ともに、待機児童を出さないというのが大きなテーマになっている。日本全体としては、保育園を建て、保育士を確保して、受け皿をどんどん増やしている。

しかし、保育園のあるところにマンションが建つわけではないし、女性向けの新しい職場ができるわけではないので、待機児童はなかなか減らない。

 

しかし、この勢いで保育の受け皿を増やし続けていいのか?は心配です。建物の寿命や減価償却期間という問題もありますし、大量採用している保育士さんの将来も心配です。30年とか40年のスパンで考えないといけません。

 

将来、職場を無くした保育士さんが、「保育園閉じた!日本死ね」って書き込まないようなコントロールも一方では必要でしょう。