中小企業診断士は経営の先を予測するのに「景気循環」を活用します。足下の日本の景気(アベノミクスだけではないですが・・)は、いい意味で予測を難しくしています。
中小企業診断士は必ずしも経済の専門家ではないのですが、経営診断の際に景気の先行きを問われることはよくあります。
その際には、景気循環のお話をします。つまり、好景気も不景気も永遠に続くことは無いということです。リーマンショックのような世界金融恐慌でも、いつかは立ち直るわけです。
景気循環のおさらいです。
右上(第Ⅰ象限)では、生産が過剰で在庫が増えています。好景気が終わって、景気が後退に向かいます。
左上(第Ⅱ象限)では、景気の後退が明らかになって景気の谷に向かいます。
左下(第Ⅲ象限)では、徐々に不況から脱して生産が回復しながら在庫は減っていきます。
右下(第Ⅳ象限)では、生産が増え、在庫も回復していって、景気の山に向かいます。
そして、生産が過剰になって在庫が増えて・・という循環がグルグル回るわけです。
そのときの予測は、現在の景気循環は好景気の後半に差し掛かっている可能性が高いですよ!皆さん気をつけて準備してくださいね。というトーンでした。
さて、それから2年間経っての結果は以下の図です。
まぁ、何がどのように影響があったものかは分かりませんが、簡単に言えば極端な景気の谷にならないままで小さな好景気に向かった景気循環に見えます。
少なくとも過去の日本の15回の景気循環では見られなかった現象です。この図を素直に見れば、今後しばらくは景気の山に向かって好景気が続きそうです。
山高ければ谷深し(逆もそうです)から、谷が浅い景気循環では、好景気を実感できないかも知れません。しかし、不景気でのダメージのほうを恐れる会社のほうが多いので、悪いことではなさそうです。
本来は左派野党がやりたかった経済政策を安倍政権がうまく実現しているとも言えます。中小企業を支援する立場で言えば、不況にならずにそこそこの好景気が続くという経済状況は好ましいものと考えています。
昨今は、長期政権の「馴れと驕り」とか、「飽きと嫌気」とか、情緒的な理由で安倍政権打倒、アベノミクスの大転換を唱える勢力が多くなっていますが、そこそこうまくいってるうちは変えないで欲しいなぁと思っています。「改革は痛みを伴う」のですが、痛みで済まない中小企業も多いです。