上海市の近郊、長江周辺の江南地域には多くの水郷があります。
10年前には、江南水郷は水質汚染で酷い状況でした。閉鎖性水域に人口増加によって生活排水などが多量に流入しました。更に産業排水の量も大幅に増加しました。
産業排水としては、畜産排水(糞尿などを含む)が影響が大きく、染色排水なども大きな問題でした。
江南水郷の汚染は、下流にある世界最大都市の一つ上海市での生活にも大きな影響を与えます。当然のことながら、水質浄化への取り組みが進められました。
この水質浄化の取り組みが効果を上げたのは、上海万博の開催や杭州・西湖の観光地化という事情が大きかったと思います。やはり、世界から観光客を集めるときには、綺麗なものを見せたいというのは人情です。
江南水郷のいくつかは、古の趣を取り戻し、世界的に有名な観光地になっています。中国ならではのダイナミックな手法(例えば、運河を完全に閉鎖して水浄化するなど)も使われていますが、天然の炭や木質を使用したり、水性生物の浄化機能を使ったり、という古くて新しい手法も数多く使われています。
日本には長江ほどゆっくり流れる大河はありませんが、水郷と呼ばれる町はたくさんあり、それぞれ有名な観光地になっています。水に親しむことは、文字通り生活に潤いを与えます。
世界を驚かすような、美しく優しい水郷が各地に出来上がればいいと思います。