170年企業:シーメンスの変貌

このところ、東芝との比較もあって原発事業から撤退したドイツのシーメンスの記事が目につきます。

 

シーメンス
シーメンス

シーメンスは企業規模でドイツ5位(1位はフォルクスワーゲン)です。売上高は9兆5千億円、世界200か国に35万人の従業員を抱えます。驚くべきことに、直近7年間は税前利益率が10%前後で推移しています。

 

ヴェルナー・フォン・ジーメンスが1847年にベルリンで創業していますから、170年の歴史を誇る長寿企業です。電信機の製造から始まって、通信・エネルギー・医療機器まで幅広い分野を手掛けます。

 

シーメンスの長期的な成功の要因が「変革」です。170年の長寿企業ですが、直近10年間に半分の事業を入れ替えています。原子力事業からの撤退はよく知られていますが、他にも、太陽光発電・半導体・パソコン・白物家電・自動車部品・水浄化システムなどの事業も他社に譲渡しました。かつて、日本でシーメンスの代名詞だった補聴器も今は作っていません。

 

原子力と太陽光から撤退したエネルギー分野では風力発電に注力して世界一の座にあります。エネルギーマネジメントの分野でも圧倒的な世界№1です。

そんなシーメンスの重点目標は「デジタル化」です。シーメンスにとって、データは最も重要な『原材料』です。5000人を超えるソフト開発人員を抱えて、研究開発に取り組んでいます。ハードウェアからソフトウェアに大胆に舵を切って成長を加速させる考えです。

 

そこには明確な経営の意思の表明があり、従業員などの社内外の利害関係者の納得があります。日本企業が学ぶところが多いと思います。