うちには失敗ばかりするエンジニアがいるんだ!

社長さんの嘆きの声ですが、「じゃあ、仕事から外したらいいじゃないですか?」と強く言うと、「でも、いい仕事もするから、外せないんだよ」という返事です。

 

大抵のケースで、こういうやり取りになります。つまり、社長の怒りを買っているミスばかりするエンジニアさんも優秀なエンジニアさんなんです。他の従業員さんでは容易に代えられないというのです。

企画や設計を担当するエンジニアの場合、失敗や人為的なミス(ヒューマンエラーという言葉は最近使わなくなりましたが・・)を完全に無くすことはできません。人間は失敗をする存在です。

 

何故、人間は失敗をするのか?というと、人間が既に優秀な存在だからです。AI(人工知能)でも優秀になればなるほど失敗の確率が高くなります。

 

例えば、社長が「装置Aにはタカタの部品を使ってくれ」とエンジニアに指示したとします。エンジニアは装置Aがタナカの子会社のB社に納入されることを知っていたので、「はい。タナカですね」と復唱します。社長はタカタと言ったと思って「そうだ。よろしく頼む」と応える。なんてことは、よくあります。今流行の「忖度(そんたく)」です。

 

口頭指示の聞き間違いや、文書での指示での読み間違いの多くは、お互いの人間としての優秀さが原因です。逆に、少しくらいの言い間違いや書き間違いは、勝手に修正してくれるので仕事がスムーズに進むのです。

例えば、「5月30日まにで、タタカの部品を使って、装置Aを組みてた、B社入荷にする」という文書が廻ってきても、確認しないことも多いでしょう。

 

また、優秀なエンジニアは熟練していて何度も同じ仕事をしています。このシステムでは、こういう配置が最適だというパターンを知っています。このため、あるパターンが出てくると、あぁそういうことだなと先回りができます。普通は、それでいいのですが、時にイレギュラーな場合もあって、仕様書にはちゃんと注意書きが添えられていたりします。ところが、ベテランほど、引っかかって定型的な処理をしてミスを犯すこともあります。

 

仕事のミスを減らすには、いくつかの方法があります。最も効果的なのは、多重チェック(設計→審査→承認)ですが、中小企業では完璧に実施できない場合も多いです。

それでも、営業、引合から企画、設計、製作、据付など、その仕事に携わる人は複数いるはずです。それらの人が、他人の仕事に興味を持って横目で見ることで、ミスが発見されて失敗を未然に防ぐことができます。

また、その仕事に直接タッチしない経理や総務の担当者でも、あれっ?おかしいな?と気づくこともあるでしょう。組織としての風通しをよくして、お互いに信頼をして仕事をする雰囲気をつくることです。

 

中小企業の場合は、失敗を叱るのではなく成功を称える、顧客のことを最優先にして他の部署の仕事振りにも興味を持つ、といった職場風土をつくることが肝要です。