火星だって「べんがら」で覆われている

毎度おなじみの「べんがら」ネタですが、今回は動画付きです。見てくださいね。

 

私の古巣の会社は、酸化鉄製造メーカーです。

酸化鉄にはいろいろな構造があります。ちょっと、ややこしいのですが・・

2価の鉄を含むものを酸化第一鉄と言います。黒い色をしていて鉄黒と呼ばれるものが代表的です。3価の鉄を含むものは酸化第二鉄と言います。

 

酸化第二鉄には、α・β・γ・ε の4つの構造があり、それぞれの性質が異なります。

α型の酸化第二鉄が、赤い「べんがら」です。ヘマタイト(赤鉄鉱)といいます。

 

地球は鉄の惑星で、且つ大量の酸素が存在しますから、「べんがら」は広く分布しています。古代から、人類が使っていた痕跡が世界中に残っています。

☞ 関連ブログ「2015.4.18 人類が最初に使った着色材は酸化鉄です」

 

JSTの「科学の遺産と未来」で「ベンガラ」が取り上げられていますので、お時間があればご覧ください。

 

 

また、近年の研究では赤い惑星である火星の表面が「べんがら」で覆われていることがわかってきました。地球の酸素は植物の光合成で作られたのですが、植物の育たない火星で酸化第二鉄がどのように作られたのかは、現時点では大いなる謎です。